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第4話
薄暗い部屋に置かれたステンドグラスのランプがぼんやりと七色に揺れる。
灯りの影に他の男と同じ様にマスクを身に付けたその男がニヤリとし、その黒いマスクに埋め込まれたスワロフスキーがキラキラと色を変える頃、男の口元が緩みゆっくりと口を開いた。
「初めまして、シキだ。挨拶代わりにキスでもするか?」
「別に挨拶なんかどうだっていいだろ」
「挨拶大事だろ。で、お前の名前は?」
「……リヒト」
俺がいつものようにあの館に出向くとシキと名乗る男に声を掛けられた。
長身でスマートな佇まいのシキはミットナイトブルーの燕尾服がよく似合い、マスクから覗く目元が見え隠れするくらい長めの無造作な黒髪が妙に色っぽい。
それは男の俺でもすぐに感じ取れたくらいの色気を放っていてた。
そんなシキに手を取られ奥の部屋へと通されると、名前だけを名乗る自己紹介を済ませ、早々にソファーに押し倒された。
「……んッ」
何度も角度を変えて押し付けられる唇。
最初はゆっくりと優しかったキスは直に激しくなり、息苦しさに開けた唇の隙間から舌を入れられた。
「口……ッ……もっと開けろ」
「ん……あッ」
舌を必要以上に絡められ、時々そのまま舌を甘噛みされると身体中に電気が走ったようにビクついてしまう。
それを繰り返しながら咥内を荒らされていると下半身にまで熱が飛び火してくる。
それはまるで全身が性感帯になったようで、こんなにも快感を得られるキスは初めてだった。
快感でぼんやりする意識の中でそんな事を実感していると生暖かい唾液が口端から垂れ、それをすぐさますくい上げるように舐め上げられ、今度は首筋に唇を這わせてくる。
あまりの気持ち良さにしがみつく手に力が入らなくなる頃、突如、男の唇が離れていった。
「やばいな、お前とのキス……気持ちいい。お前は?」
「……ねちっこくてしつこい」
「ひっでーな」
この男とのキスは今までの誰よりも気持ちよかった。
だけど、それを素直に口にする程可愛い性格は持ち合わせてない。
「“よかった”とか言われたかったら女でも抱けばいいだろ」
「残念ながらここは男しかいないぜ。それにお前のその強気な所、嫌いじゃない」
さっき初めて会ったくせに馴れ馴れしい上に、
「悪趣味……て、おい!いきなり脱がすなっ!」
「だって、セックスするんだろ?」
……酷く強引な男。
でも、今日初めて会ったのに俺はこの男の強引さが何故か嫌いではなかった。
そして夜が深くなる毎に俺はこの男とのセックスに溺れていった……
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