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第6話
「……ッ……んんッ……シキ……」
「リヒト、今夜もたっぷりと楽しませてやるぜ……ッ」
それからも夜は相変わらずあの館に出向き、シキと会ったあの日から俺はずっとこの男とだけセックスを楽しんでいた。
何故そういう事になったかと言うと、初めてここに来た時に抱かれた男に、跡は付けない約束を守らなかったからもう相手はしないと告げた所、しつこく絡まれた。
それをタイミング良くシキが助けてくれから。
それから、俺にしろと半ば無理矢理こいつとだけセックスするようになった。
「……も、ッ……これ」
「欲しかったら、欲しいって言えって教えたろ?」
「……欲し……ッ……い……シキの……」
その日の気分でソファーでしたりベッドでしたり、お互いにマスクは付けたまま裸体を絡ませ楽しむ。
シキとのセックスは気持ちいいのとは別に何故か心地よくて、触れ合っていると安心する。
身体を繋げないにしても、キスだけでもイけるくらいに相性もよくて、何より……
「リヒト……ッ……出すぜ……」
「ああッ……俺も……イくッ!……ん……んん」
イった直後にされるキスが気持ちよかった。
重なり合う身体の間を俺が出したのが伝い、汚し、遠のく意識の中で再びキスをされ、シキが俺の中から出ていくと……そこから生暖かい白濁が溢れ出した。
「……はぁ……はぁ……ッ」
「……今日のリヒトなんか激しかったな」
「別に……いつもと一緒だ」
日に日にシキに溺れていってる自覚はあった……それは、身体だけじゃない、それ以上も。
だから時々、マスクを取ってシキが一体どこのどいつなのか確かめたくなる衝動に駆られる時もあった。
だけど、それ以上が存在しないからこうして成り立っている自覚も勿論ある。
もしも、そんな事をしたらシキには二度会えないだろう……なんとなくそんな気がした。
「そろそろ帰る」
「リヒト?どうしたんだよ」
「別になんでもない」
モヤモヤする気持ちを消化できるだけの器なんてない俺は、今日は早めに帰ることにした。
そして、シキが時間を確認する仕草にふと違和感を覚えたが……それが何なのか、その時は深くは考えてはいなかった。
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