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天宮くんの部屋は夜の熱気に包まれ、少しばかし不快な蒸し暑さに満たされていた。
僕は布団を敷くと、天宮くんの腕を取ってその敷いた上に座らせる。天宮くんは居心地悪げに視線をうつむけてしまう。
「僕の心持は正直に話した。君はどうなんだね? 僕とはもうこういった事はしたくないかい?」
僕は不安にかられ、膝に乗せている天宮くんの手を握る。
「僕は……貴方を信じても良いのですか?」
「ああ、もちろんだとも」
僕は握っていた手に力を込める。空いた方の手で天宮くんの頬に触れ、ゆっくりと顔を寄せていく。
天宮くんは僕をひたと見つめるだけで、微動だにしない。そのまま唇が重なり、久々に味わう天宮くんの柔らかな唇に、抑えきれない欲望がせり上がった。
天宮くんの頭に手をやり、唇を吸っては舌先でなぞっていく。
「はぁっ……」
天宮くんの微かな吐息が唇の端から溢れ出し、薄く開いた唇の隙間から舌先を差し込む。ぴちゃぴちゃと水音を立て、天宮くんの甘味な舌を絡み取っては唾液を啜る。
「っん……ッ……」
着流しの隙間から手を這わせ、着崩れた襟元の部分から白い肌が露わになっていく。
煽情的なその姿に堪らず天宮くんを布団の上に押し倒すと、僕は首筋舌を這わせ優しく吸い上げ赤い印を残す。
「あっ……そんなところじゃあ、目立ってしまいます」
「他の誰かに見られても構うものか。僕以外の誰にも君を触れさせたくないのだからね」
この間まで、鎌頼も共犯者に――と思っていた僕の考えが、今や天宮くんを自分だけの物にしたいという心持に移り変わっていたのだ。
僕の心持を此処まで変えてしまう天宮くんには、正直畏怖の念さえ:抱(いだ)いてしまう。
「天宮くん。僕はね、君に出会って色々と変わったのかもしれない。最初こそは互いの欲求さえ満たせれば、と思っていた事は否定ができない。でも今は違う。僕は君が愛おしく思えてならないのだ」
すっかり帯を解いてしまうと、白く艶やかな裸体が露わになり、桃色に色付いている小さな粒に顔を寄せる。
舌先で撫でれば天宮くんが息を詰め、小さく吐息を零す。
「君は此処が好きなんだね。僕なら幾らでも可愛がってあげられる」
「あぁっ……んっ」
強く吸い上げ、舌先で弄ぶと天宮くんが腰をくねくねと動かす。布を押し上げ先端を湿らせる昂りを目で確かめると、布をずらし直接撫で上げる。
「やっ、あぁ……」
「もうすっかり濡れてしまっているね」
僕は舌先をゆっくり滑らせ、肋 から腹へ降りていく。
電灯の淡い光に照らされている素肌は、何度見ても飽き足らないぐらいに濃艶で僕の心持を掻き乱す。
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