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第6話

祭りで使用する和太鼓の台や、村内の運動会用の綱引きの縄、何かを解体したのだろう大量の埃っぽい木材などが雑多に詰め込まれた物置小屋は、昔から周辺に住む子供達の格好の遊び場だった。 電球もないので、扉を閉めると中は真っ暗になる。 だが、記憶を頼りに奥へと進めば、壁には虫に食われた穴や風雨で痩せた木材の隙間が無数にあって、わずかに外灯の明かりが差し込んでいた。 欲情を隠さない互いの顔が、暗闇にぼんやりと浮かぶ。 「お前、秘密基地だって言って、ここに拾った猫隠してたりしたよな」 腰を抱き寄せて慶太の耳元に囁くと、慶太も両腕を背中に回して抱きついてきた。 「意外。覚えてるんだね」 答えた慶太こそが猫であるかのように、額を貴之の胸に擦り付けて甘える。 汗ばんだふわふわの髪を梳いてやると顔を上げ、伸び上がってキスをねだった。 短い舌をちゅくちゅくと吸い上げながら、慶太を壁に押し付ける。 興奮を示す場所を軽く摩ってやると「んっ」と声を上げ、びくりと全身が震えた。 だが、膝で足を開かせ、深く腰を密着させると、欲望が羞恥を上回ったのか、慶太の方から腰を揺らして擦りつけて来た。 薄い生地越しに、互いの固く熱い強張りの裏側が擦れ合う。 貴之は吸い続けていた舌を一旦離すと、ずるりと慶太のハーフパンツを下ろし、下着も押し下げた。 元気に、という表現が似合う勢いで若い昂りが飛び出し、早く握ってくれと揺れている。 その先端は、もう既に淫らさへの予感に濡れていた。 猫を抱き上げるように慶太の脇の下に両手を差し込み、足で引き寄せた木材の上に立たせる。頭一つ分違った身長が、頭半分くらいの差に縮まった。 抱き締めれば、貴之が膝を曲げずとも、興奮した生身の雄同士が触れ合う。 敏感な場所で感じる貴之の欲望に、慶太が小さく息を飲んだのがわかった。 「一緒に握って」 言われるがままおずおずと両手を出した慶太は、貴之の熱に指先が触れると少し躊躇いを見せた。 だが、引き寄せられるように指を這わせると、手を大きく開いて、二つの雄をまとめてぐっと握った。 緊張のためか、少し冷たい手が心地いい。それとは対照的に、敏感な裏側に触れる慶太の熱は更に固く熱くなり、濡れた感触があった。 貴之はどうしていいかわからず固まっている慶太の両手を、自分の両手で包み込む。 慶太の手の甲や指越しに雄の熱が伝わるほどぐっと力を入れると、そのまま上下に擦り出した。 「わっ あっ……!」 強い刺激に慶太が驚いた声を上げ、次いでふるふると首を振る。だがその手は貴之の両手に大人しく納まり、動きを遮ろうとはしていない。 少し擦っただけで水気を増した慶太のおかげで、滑らかに手が動く。 技巧も何も無い無骨な摩擦だったが、包み込んだ手から伝わる緊張と快感は、物理的な刺激以上の興奮を貴之にもたらした。 聞こえてきたくちくちという水音が羞恥心を煽るのか、慶太ははぁはぁと荒い息をつく合間に「音、やばい……」と泣きそうな声を上げる。 「ほら、口開けろ」 切なげに眉根を寄せて強い刺激に耐えている慶太に促すと、遠慮がちに唇を少しだけ開く。 顔を傾けてその隙間に舌を捻じ込み、好き勝手に口内を舐め回し、更に喉の奥にまで届かせる勢いで舌を出し入れさせた。 何の準備もない場所でこれ以上の行為をするわけにいかないので、貴之は代わりとばかりに思う存分慶太の口内を嬲る。 仰のいて口を犯され、自ら二人分の雄を扱かされながら、慶太は「うんっ うぅんっ」とくぐもった甘苦しい悲鳴を上げ続けた。 その声が徐々に高く、切羽詰ったものに変わる頃には、慶太の手は二人分の先走りでぐっしょりと濡れ、扱く音はぐちゅぐちゅと卑猥さを極めていた。 「んーーーっ!んうーーーーっ!」 口内を貪られたまま一際高く長い悲鳴を上げて、慶太が自らの手の中で果てた。強い快感を制御し切れない体がびくびくと震える。 勢いと量の多い迸りは慶太の手だけでは受け止めきれず、上から覆う貴之の手までべったりと濡らした。 夜気に混じる青臭い香りと、手を濡らす熱い迸りに貴之の興奮も高まり、質量を減らした慶太の雄を解放しないまま自ら強く扱く。 「んぅっ! んうぅっ!」 尚も離れない貪欲な貴之の唇が、音を立てて慶太の舌を思い切り吸い出し、軽く歯を立てる。慶太は、噛まれた舌の先で、貴之が低く呻く振動を感じた。 先端を覆うように移動させられた慶太の手の平が、叩きつけられる熱い奔流で汚される。 一滴残らず味わおうとでもするかのように、慶太は不器用な動きで指先を絡ませて、貴之の肉芯を絞った。

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