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第4話
風呂を終えて居間に戻ると、トキがテレビを見ていた。
なんだかまだ慣れない。
突っ立っている俺に気付いて、トキが声を掛けてくる。
「上がったか? じゃあ次借りていい?」
「ど、どうぞ…」
トキは廊下へと出て行った。
俺はその場にしゃがみ込み、悶える。
これでは、一晩共にするなんてとてもじゃないが無理だ。
そういえば。ハッと気付いて顔を上げる。
うちには布団が一組しかない。俺のシングルベッドに使っているそれだけだ。
(どうすんだこれぇ~)
もう既に何回泣きそうになっただろう。
自分が床に寝ればいいだろうか、とりあえず、そんな結論に行きついた。
トキが風呂から出て来た。まだ濡れた髪の毛から雫が滴り落ちている。
凄く色っぽい。ついつい見入っているとトキが不意に俺に近づく。
「そんな顔されたらどうしたらいいか困るんだけど」
「ッご、ごめん! も、もう寝るか!!」
何を一人で舞い上がってるんだろう、俺は。
恥ずかしくなって、自身のベッドに潜り込む。
するとすぐにトキが潜り込んできた。
「ちょ、狭いから! お、俺下で寝るし!!」
「何、昔は一緒に寝てたじゃん」
「いやそれは昔であって今は……」
「つべこべ言うな、ほら!」
何故、俺はトキに抱き枕にされているのだろ。何だろう、この拷問は。
そんな事をぐるぐる考えているとすぐ横から規則正しい呼吸音が聞こえてきた。
都心からここまでやって来たんだ。疲れていて当然だろう。
「お休み、トキ…」
俺もトキにくっ付く様にして眠りについた。
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