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第8話

【戸河内side】 タクシーが目的地に到着した。 俺は、鷹栖を起こすが全く起きる気配がない。 「お客さん、大丈夫ですか?」 「あぁ、心配いりませんよ」 料金を払い、車を降りた。 去っていく車を眺めてから、俺は高須をおぶり、マンションへと入る。 「おい、鷹栖。何階だ」 「んー…」 仕方なく、ポストを確認する1階2階と見ていき、4階部分で鷹栖の文字を見つけた。 エレベーターに乗り、4のボタンを押す。 エレベーターが止まり、ドアが開いた。 降りた所で、部屋の前に誰かが座り込んでいるのが目に留まった。 俺は高須の部屋の前まで歩く。 その人物が頭を上げてこちらを見た。 「はる…ええと、貴方は…?」 ひょっとすると、こいつが高須の言う「好きな子」だろうか。 だとしたら面白い。俺は少し遊んでやる事にした。 「俺は戸河内と言います。が酔いつぶれて、家まで送ってきたんですよ」 「…どういう関係ですか?」 「そちらこそ、どういった関係で?」 「俺は…幼馴染で……」 「…確か、は関東出身でしたよね? わざわざこんな田舎までどうしての貴方がこんな夜遅くに来て、ドアの前で座り込んでいるんです?」 「それはっ……」 「私がの看病をしますんで。貴方はホテルにお戻りください」 「ッ……失礼、します…」 男はそのまま走り去った。 さて、これからあの男はどう出るだろう。楽しみで仕方ない。 「…悪趣味ですよ、戸河内さん」 隣の部屋が開いて、中から芦田が顔を出した。 「なんだ、来た事あると思ったらお前と同じマンションか。丁度いい、鷹栖の面倒を頼んだぞ」 「え、ちょ、戸河内さん!?」 鷹栖を芦田の部屋のベッドに寝かす。 芦田は水の入ったコップを持って現れた。鷹栖に呑むように促すが、起きる気配がない。 「貸せ」 俺はコップを受け取り、それを口に含んで、鷹栖の口に流し込んだ。 「んうっ……ん……」 「ちょ! 何してるんですか! 戸河内さん!!」 「呑まないよりましだろう」 鷹栖のネクタイを緩め、ワイシャツのボタンを外してやる。 少し息がしやすくなったのだろう、すやすやと眠っている。 「そんな顔をするな、鷹栖の看病が終わったら次はお前を看病してやるよ」 「ッ…別に、俺…!」 ククッと笑ってやる、それだけで芦田は顔を朱に染めた。 こいつの反応は見ていて飽きない。 きっと、鷹栖も――良い反応をするのだろう。 俺は、鷹栖のワイシャツのボタンをすべて外し、その白い素肌を露わにさせた。 触れると、くすぐったそうに逃げる。 「と、戸河内さん! これ、遙真に着せてください!! いや、むしろ俺が着せますから戸河内さんは後ろ向いてて!」 ポジションを変わられ、俺は笑いそうになるのを堪えながら後ろを向いた。 がさごそと、芦田が格闘している。 「…出来ました。もう、戸河内さんはお帰り下さい!」 「…そうもいかないさ」 「え?」 「…次は、お前の番だろう…?」 その、小さな唇を塞いだ――

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