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第9話(R)
【汐音side】
風呂場に移動した。
戸河内さんも俺も一糸纏わぬ姿で戸河内さんに指示された通り、俺は彼自身を口に含んだ。
シャワーの音と、自分が発する水音が混ざり合う。
「んむっ……ふっは……んんっん…」
「上手くなったな」
「ほんほ、れすか…? ん……」
褒められただけなのに物凄く嬉しくなる。
俺は懸命に戸河内さんのモノを舐め上げた。
ジュルジュルと厭らしい音が耳につく。
戸河内さんは表情一つ変えずに俺の姿を見つめている。
「もういい。後ろを向け」
「は、い…」
自分のモノがピクリと反応する。
これでは、早く入れてほしいと強請っているようではないか。
恥ずかしくてきゅっと瞼を閉じた。
後ろに戸河内さんのモノああてがわれた。ゆっくりと侵入してくる。
「はぁ……んぅぅ…」
「全部、入ったぞ…芦田」
「やっ言わないで……ッ」
フフッと小さく笑って、戸河内さんが動きを加速させる。
目の前がチカチカした。幾度となく繰り返されるピストンに、ただ声を上げる事しか出来ない。
部屋には、遙真が寝ているのに、こんな事するなんて…!
羞恥で、体が熱くなる。それと同時に快感が俺の体を突き抜けた。
「あっあっはぁ、ん、あ、イタッ…!」
気付けば、戸河内さんに首筋を甘噛みされていた。痛みと共に、少しの快楽が駆け巡った。
抽送が速さを増す。がくがくと俺の体は揺さぶられ、なすがままだ。
もう、終わりが近かった。
戸河内さんが俺のを握り、扱き始めた。快楽に支配される。
「だ、めっっ! もう、おれ……」
クチュクチュと蜜が滴り、それを擦り付ける様に扱かれた。
「あっい、く……俺っお、れ……あっあぁあぁあ――!!」
目の前が、弾けた……。
後始末を終えて、風呂場を出た。
遙真の様子を伺うと、ぐっすりと眠っている。
ほっと胸を撫で下ろした。
「じゃ、俺は帰るから後頼んだぞ」
「はい、解りました。…戸河内さん」
「なんだ?」
「……何で俺に……いえ、何でもないです。おやすみなさい」
そのまま、戸河内さんは帰って行った。
何故、言えないのだろう。たった一言「貴方と恋人になりたいです」と――。
言うのが怖いんだ。きっと、戸河内さんは俺の気持ちには答えてくれない。
戸河内さんにとって俺は、ただの『玩具』でしかないのだから…。
「あはは…俺なんであんな人、好きになってるんだろう…」
絶対に叶わないのに。辛いだけなのに。
何度、彼を想って涙するのだろう。そして、この関係はいつまで続くのだろう。
空っぽになった心で、そんな事を考えた。
瞳から流れている雫に、気付かない振りをして。
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