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山道 下駄 Gパン

洗濯物を乾燥機にかける為、コインランドリーへと向かう事に。 悠は遠慮なく、僕のタンスを漁る。 取り出したのは、以前冒険して買った、アシンメトリーなデザインのカットソー。それにダメージジーンズとちょっとしたアクセサリーを合わせれば、元アパレル店員だけあって、持ち主の僕よりも格好良く着熟す。 「……おっ、双葉の匂い」 胸元辺りを掴み上げ、鼻にそっと近づけてクンクンと嗅ぐ。 「俺、双葉に抱かれてるみてぇ」 「……やだ」 イヤラシイ言い方をする悠に、背を向ける。すると視界の左右から腕が伸び、ぎゅっと抱き締められた。 「……可愛いな、双葉」 首筋に熱い息がかかり、直ぐに熱いものが押し当てられる。 ヂュっと一瞬強く吸われ、チリッと痛みが走る。 「……悠」 「さっさと行こーぜ!」 何事も無かったかのように、悠が僕から離れる。 戸惑いを隠せないまま、触れられた所ををそっと片手で覆い隠す。 目と鼻の先にある、コインランドリー。 古びた内装。殺風景な空間。 プレイマットを敷き詰め囲っただけの、狭いキッズコーナー。忘れ物だろうか。小さな靴が片方、下駄箱に取り残されたていた。 乾燥機にかけた後、悠は草臥れた旅行雑誌を拾い、年季の入った長椅子に座る。 旅行でもしたいんだろうか──ドライブマップ、観光スポット、山道に咲く花の写真の載ったページを開き、じっと一点集中している。 「……なぁ、双葉」 不意に悠が、口を開く。 その瞳はもう、雑誌など捉えてはなくて。顔を上げ、何処か寂しそうに瞳を揺らしていた。 その姿は、昨日の悠を見ているようで…… 「……」 「……腹減ったから、メシでも食いに行こうぜ」 そんな僕に気遣ったのか。 それとも気のせいだったのか…… 悠はいつもの表情を僕に向け、雑誌をパンッと閉じた。

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