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第4話

二人はあれから、どうしたんだろう…… バイトが終わり店を出る 少し前に雨が降ったせいか、蒸すような暑さが余計に不快な気分にさせた じめじめと湿った空気は 今の僕の感情と同じ 纏わり付き、離れてはくれない…… 「………」 信じたい……けど…… 目に焼き付いてしまった光景が、それを阻む 二人の近すぎる距離 僕には見せない、誠の笑顔…… ズキズキと痛む胸に手を押さえる ……これ、嫉妬っていうのかな… もう、よく解んない… こんな醜い感情なんて 切り取って捨ててしまえたらいいのに…… 指先に触れる 誰もいない店内で、誠が触れてくれた所…… そこがじん、と熱く疼く 「……!」 不意にポケットの携帯が震えた それに反応し、肩が跳ね上がる ……もしかして、誠さん? 慌てて携帯を取り出すと、背後から聞き覚えのある笑い声が聞こえた 「…ハハハ、渡瀬かと思った?」 意地悪く、からかうように笑う声 振り返らなくても解る その声は… 「大輝……」 そこには 不揃いの毛先が耳まで長い、黒髪の大輝が立っていた 駅前のファミレスに二人で入る 大輝と会うのも話すのも久し振り…… 『悠の事は、こっちで何とかするから……双葉は渡瀬とイチャイチャしてなさい』 あの電話以来だ…… 「……悠は、今どうしてるの?」 あれから考えなかった訳じゃない 気になってはいたものの、単純に聞けずにいた 「んー、順調に社会復帰してる」 「……そっか」 その言葉に、ほっと胸を撫で下ろす と同時に、あの時の感情を連れてきて、胸をズキンとさせる 「……」 ……復帰してる、って事は 精神薬も……もう飲まなくて良くなったのかな…… 離婚の件もどうなったんだろう…… …奥さんの元に、戻ったのかな…… 「で、双葉は? 渡瀬とはどうなの?」 大輝は涼しげな顔で僕に尋ねた

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