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第13話
唇が割られ、悠の舌が差し込まれる
そうなって初めて、僕はキスされてる事に気付いた
ギュ、と目を瞑り体を押し返すが、その手首を掴まれ剥がされる
……だめ…
力を込めようとするも
甘く痺れて上手く力が入らない…
それ所か、この快感を求めていたかの様に、体の方は受け入れ蕩けていく……
「………」
唇が離される
瞼をゆっくり上げ悠を見ると、悠の潤んだ瞳に見つめ返される
「寂しい想い、してんのか?
……愛されて、ないのかよ……双葉」
鼻先に息がかかる
「……え」
何も話していないのに
何でそんな事を言うのか解らない……
「…さっきから
寂しくて、物欲しげな顔してんだよ」
唇が再び触れそうな距離…
それから逃れるように
僕は少し顔を逸らす
「……僕……飽きられて
捨てられちゃった、のかも…」
目を伏せると睫毛が涙の雫で濡れる
捨てられた、という言葉が引き金になったのか……
口をついたと同時に
胸が急に締め付けられる
鳩尾辺りがキリッと痛くなり、呼吸が浅くなる……
ビードロの様に胸がペコペコと凹むような…
「…どうした?!双葉」
……ひっ、ひっ、
胸を押さえ、その場に倒れ込む
何で、今、発作が……
悠が僕の体を掬い上げた
そして背中に手を回し、そっと撫でる
吸うばかりで息がうまく吐き出せない……
「双葉、落ち着いて……
吐いて、ゆっくり…」
悠にしがみつき、クラクラする頭のまま、悠の指示に従おうと懸命に耳を傾けた
「吸って、吐いて……」
耳元に悠の唇があるのを感じる
…は、……はぁ…はぁ…
背中から伝う悠の温もり……
「……はぁ…はぁ…」
やっと呼吸が整うと、悠を縋る様に見上げた
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