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第14話
「ごめん…、双葉のそれ、俺のせいだよな」
結婚式の招待状が届いた時
悠に捨てられたと思った僕は
精神が荒れ、頻繁に発作が出るようになった
けどそれも一年経てば精神は大分安定し、治まってはいたのだけれど……
「俺の時も、そうやって苦しんでたんだな……」
悠の手が、僕の後頭部に添えられる
そして強く抱き締められ
悠の胸に顔を埋める形になってしまった
……悠…
悠の匂いと胸の鼓動を感じ
僕の体からゆっくりと力が抜けていく……
……
………
悠の優しい手
僕の手首を掴み
そっと指を絡める
シーツの擦れる音が響き
発作の時とは違う息遣いが部屋に響く
「……悠」
「ん?」
「ごめんね」
「…何だよ急に」
広すぎるベッド
テレビから垂れ流される無音のアダルト映像
テーブルにはペットボトルと部屋の鍵……
「本当はこんな事、許されないのに……
…僕のせいで……悠をまた、苦しめてる……」
「…何言ってんだよ」
悠がこちらに体を向ける
と同時に、シーツの擦れる音が鼓膜を擽る
そして伸ばされた手は、再び僕を抱き寄せた
「俺は双葉に会えて
しかも双葉と繋がれて、すげー嬉しいんだぜ」
「……悠」
ストレートに気持ちをぶつけられ、僕の顔に熱が集まる
友達から恋人になったせいか
それとも恋人期間が長かったからか
悠とは極度に緊張しない
自然体でいられて
悠の隣は、とても居心地が良い……
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