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第45話
ぱたんと携帯を閉じポケットに仕舞う
そして直ぐに玄関へと向かった
「…ただいま」
スーツ姿の誠が、少し照れたように微笑む
「……お、おかえりなさい」
言い慣れていない台詞に、僕も恥ずかしくて視線を逸らす
すると誠の手が伸び、僕の頬に触れた
「双葉…」
呼ばれて誠を見れば、すぐそこまで誠の顔が寄せられていた
三日月程薄く閉じられた瞼
長い睫
綺麗な形の唇……
「……!」
慌てて僕はギュッと目を瞑る
そして唇に落とされるキス……
それは触れるだけの軽いものだったけれど
柔らかくて、甘くて…
こんなキスをされるのは、久し振りだった
……誠さん……
唇が離れていくのと同時に、瞼を上げる
「……体の方は、大丈夫ですか?」
僕の頬に触れていた指が、僕の横髪を絡め、梳く
「はい……、あの…」
目線が定まらないまま口を開く
「誠さん、仕事は……」
「うん、大丈夫です…気にしないで」
少し、誠が砕けた言い方をする
それに驚き誠を見上げると、そこにはいつもの優しい誠の微笑みがあった
テーブルの上に、誠の作ったナポリタンが置かれる
付け合わせのサラダ、スープも並び、まるで洋食店の装いだった
「………」
そう思ったら、昼間に悠と洋食店に入った事を思い出してしまう……
まだ返信できていないメールが気になり、落ち着かない
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