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第48話
耳元で囁かれ、ゾクッとし体が反応する
首を竦めてから再び誠を見ると
、形のよいその大きな目が優しく緩む
急に甘くなる雰囲気に
僕は飲み込まれて溺れてしまいそうで
足が竦む……
「双葉が愛しくて、堪らなくて
もう、限界です……」
誠の手が、僕の服の上から触れ
体のラインに沿って上から下へと移動する
そして指が服の裾から侵入し、甘く痺れた肌の上を滑り上げる
と同時に、首筋にある悠のつけたマーキングに誠の唇が重なり
キツく吸い上げられる
「……あ、……ん…」
少し漏れてしまった甘い声に、自分でも驚く
慌てて口を塞ぐと、唇を離した誠が綺麗に口角を上げる
「もっと、声聞かせてください」
誠の瞳に、しっとりとした色気が帯びる
その目で見つめられると
僕はいつも、心臓がもたない程緊張してしまう……
心臓が強く脈打ち、手指が痺れると途端に、感覚が麻痺する……
「……」
それが伝わったのか、誠の手が止まる
瞳から色気が弱まり、代わりに憂いが強く帯びる
そして、いつもの様に
離れていく雰囲気へと変わる
それを淋しいと思いながら
何処かほっとする自分がいた
その感情にまた、僕は戸惑いを隠せない……
どうして……?
誠さんに、触れて欲しいと
ずっと待ち望んで
欲しい言葉も、ちゃんと貰えて
嬉しくて、離れて欲しくない筈なのに……
……なのに……
「……」
心の奥底に押し込めた筈の
悠の笑顔と
重ねた肌の感触、温もりが
意思とは関係なく
溢れてくる………
「……まだ怖い、ですか?」
吐息と共に低い囁き声が、僕の鼓膜を震わす
いつもならとっくに離れてしまう誠の指は
逃げずにそこに留まり、少し震えていた
「……!」
昨日の蟠りは、確かにまだ誠の中にもあった
傷ついたのは、僕だけじゃなく……誠さんも……
胸の奥が、ズキンと痛む
「……誠さん」
浅く息をし、震えたその手にそっと触れ、重ねる
「止めないで、下さい……」
体を少し捩り誠の顔を見上げた
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