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第56話
「…すみません、単なる醜い嫉妬です」
目を伏せ、誠がお浸しを口に含む
僕はその姿を見て、細く息を吐いた
「…大輝は、傷心の僕を支えてくれて
僕が誠さんに惹かれているのを知った時も、それを後押ししてくれた大切な友達です
それ以上でも以下でもないです」
そう答えると、誠が僕を真っ直ぐ見た
そして目が合うと少しはにかんだ様な笑顔を見せる
「そういえば動物園の時、そうでしたね」
まだ付き合う前
誠とパッタリ会わなくなって意気消沈した僕を、大輝が動物園に誘った事がある
その時待ち合わせに来たのは、大輝ではなく誠だった
「浜田くんに誘われて行ったら、双葉がいたので驚きました」
「……それは、僕もです」
「会って直ぐに浜田くんから連絡があって
双葉をお願いされました…」
和やかなムードに変わりつつある中
僕は動物園で、悠の事ばかりを考えていた事を思い出した
……悠
もしかしたらきっと
あの時のモヤモヤは、僕の本心だったのかもしれない
子連れの家族を見て
悠もこうして家族と幸せな生活を送っているのかと思ったら……
「……双葉」
呼ばれてハッとする
誠を見れば、僕の分のご飯を覗いていた
「最近、あまり食べないみたいですが……」
言われて僕は笑顔を返す
「……今日、お昼が遅かったので……」
咄嗟に言い訳をする
……言われてみれば
確かに最近、あんまり食べてないかも……
…ん……
シーツの擦れる音が耳にやけに付く
……は、はぁ……はぁ……
夕食の後、僕が欲しいと
ベッドに運ばれる
「……双葉」
首筋から鎖骨、胸や脇腹へ
誠の熱い唇が落とされる
その度にゾクリ、と体は反応を示す
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