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第68話

「俺、大輝と来てんだけど、双葉は……彼氏と?」 悠の声に、鼓膜が甘く震える 足が細かく震え、立っているのがやっとだ 「……うん」 いつもなら身を寄せてきて、嫌だといっても僕に抱きついて ……無理矢理、キス……したりするのに…… 「上手くいってんだな ……ソレ、すげー目立ってっから、気をつけろよ」 悠は首を傾げ自身の首筋を指差す 悠のその表情、台詞に もう僕への気持ちが消えてしまったんだ、と感じた 目を伏せ、視界から悠を消す それでも募る想いは、どうしても消えてくれない…… 「……うん」 何でこんなに胸が苦しいんだろう… これでいい筈なのに どうして…… 気付けば指先の感覚が無くなり、ピリピリと手が痺れている 身体に力が入らなくて、立っているのも……やっと…… 洗面台の方へ振り返り、手を付く そしてそこに、突っ込むように顔を伏せる 「……う、…ぉえ……っ」 わからない わからないわからない………!! 胃がキリキリと痛み、全身にチクチクと針に刺された様な痛みが走り、力が入らない…… 「……げぇ……ぅ…」 さっきまで、大丈夫だったのに…… …何で、このタイミングで…… 瞼を閉じ、溢れる涙を堰き止めようとギュッと瞑る 「……双葉……大丈夫か?」 悠の心配した声が聞こえ、僕の背中に手が触れる 「飲み過ぎ、……か?」 上の方から悠の声がする でもまるで水中にいるみたいに聞こえ 溺れているみたいに息苦しい そんな僕の背中を、悠の手が擦る 「……はぁ、…ぅ……、ぉえ…っ」 自分の意思に反して、体がガクガクと痙攣した

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