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第90話

……ねぇ、悠 ん? どうして、来てくれたの? …… …もう、会えないかと…… 双葉、ごめんな ……え あの時、ホントは双葉をあいつから奪い返したくてうずうずしてた …… 双葉が幸せなら…もう潔く諦めようと、決心した矢先……会っちまうんだもんな…… ……悠 あんな姿の双葉を忘れられる訳ないだろ…あのままだと双葉、どうにかなっちまいそうで…… …… そんな時、和也さんから連絡があったんだ ……え、和兄から……? うん…俺が隔離病棟から抜けて双葉に会いに行った時、会わせなかった事を謝られた …… その上で、双葉の事を頼まれたんだ ……どういう、こと……? 覚えてないのか? …ん…… ……和也さんの前で、“本当は悠が好きなの”“和兄助けて”って号泣しただろ… ……え…そんな、事…… 波がサァッと引いていく 四本の足がそこから現れ 互いのものと擦り合わせる 脱ぎ捨てた服がそこここに散らばり 慌ただしく事をしたのが覗える 再び蒸し暑い部屋に戻ってくると 僕は悠の胸の中に顔を埋めた ……はぁ、はぁ、はぁ、 気持ちだけが高ぶり 再び胸が熱くなる もうそこに言葉などはなく 互いの熱い息遣いが、交差するだけ……

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