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第18話 2※

    「付き合う、って、天……  君の言う関係は、それは多分、恋人じゃなくて……」 「じゃあどんな事したら恋人なの?  教えてよ、月乃。  優しくしてほしい?俺の事独占したい?」 頬に優しく触れて、くすくすと笑う天に 月乃は言葉を詰まらせる。 先程から一夜の顔が浮かんでは消えない。 もしここで、自分が受け入れたら、天の言う恋人になって、所有されるのを認めてしまったら 一夜との関係はどうなってしまうのだろうと、 そればかりが気にかかる。 「大体、君、朝陽が好きなんだろ……」 「そうだよ。  笑った顔が見たいのは、幸せになってほしいって願うのはいつだって朝陽だ。  大切にしてやりたいとも思うよ、  お前相手みたいに、独占や執着こそしないけど」 「朝陽と、付き合いたいって、思ってるんじゃないのか」 「そしたらお前、泣くだろ」 何を言っているんだ、と、月乃は思わず怪訝そうに天を見る。 けれど天の顔は真剣そのもので、更に言葉を続けた。 「お前を泣かせるのは好きだ、俺のために泣いてるのもね。  でも……お前が悲しんでるのは大嫌いだ」 「……、……そんなの、」 「いい加減返事してくれない?  俺と付き合うか、どうか。  お前がずっと、欲しかった言葉だろ」 この甘言に、従ってしまいたい気持ちも正直あった。 ずっと好きだった、一時は忘れようとも思った。 それが今、少し手を伸ばせば届くところにある。 しかし、月乃は眉を下げてから一度目を伏せて ひとつ深呼吸をして天に視線を合わせた。 「悪い……君と、今は……付き合えそうに、ない」 「……そう」 勇気を出した言葉に、返ってきたのは一言。 意外にもあっさり了承してくれたのかと そう呆けると、天はにっこりと笑みを浮かべてから 首もとまでたくしあがっている月乃の服をさらに上へと上げ、 簡易的に腕を拘束してしまった。 「そ、そら、っ……!?」 「恋人相手ならとびきり優しく抱いてやろうと思ったけど、やめだ。  お前は先に……俺から離れられなくする必要がありそうだね」 「ひ、ぅ…!っあ゛っ、!」 喉仏のあたりを舐め上げたかと思うと、 犬歯が軽く食い込むほど首筋にかぶりついてきた天。 そして、赤くくっきりと残った痕を満足そうに舐め上げる。 「お前に言わせてやろうと思ってたけどまあいいや。  痕つけられたのと、乳首と……あとなんて言ってたかな、朝陽は」 「君、そんな、全部、聞いて……っ」 「あの時と違って、頭ん中ぶっ飛ぶくらい気持ちよくしてやるから……  たくさん、気持ちいいこと知ろうな、月乃?」 「っぁ、っんん…っ!」 剥がされていなかった方の絆創膏が思い切り剥がされ、 月乃は開発されきったそこへの不意打ちな刺激に 思わず腰を跳ねさせてしまう。 「女の子みたいなここも、他のところも。  全部、俺のものにしてあげなきゃ気がすまないな」 耳元で、色気をたっぷり含ませた掠れ声で言われ、 被食者というのはきっとこんな気分なんだろうと 腰の辺りにたまる甘い痺れを感じながら思った。  

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