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第22話 2

    「なあ一夜、俺と天は別に付き合ったりなんて進展はしてねぇんだけど……」 放課後、一夜の部屋へ向かった月乃が開口一番に言った台詞がそれだった。 すると、二人ぶんの飲み物を用意していた一夜は きょとん、と珍しく表情を崩してから、 どこかひりついていた雰囲気を和らげる。 「俺は……両想いになったから、そういう進展をしたんだと思ってた」 「君は俺をよく見てるけど話は聞いてねぇんだな」 「……月乃は天が好きだ。  それで、言わなかったけど天だって月乃が大好きだ……  普通、両想いになったらそうなると思うだろ」 月乃の前にココアを置きながら、 一夜は安心したように話す。 確かにそれはそうだけど、と続ける月乃は どこか複雑そうに一夜を見た。 「……なんだ?」 「天に付き合おうって言われて、君の事が頭から離れなかった」 「……月乃、それは……」 「その、君に優しくされるのは……  安心するし、好きだ……。  それが終わると思うと、……っ!?」 ぐいっ、と、腕を引かれたかと思うと 月乃は一夜の胡座をかいた足の上を跨ぐような体勢にされる。 慌ててカップを机に置き、一夜に抱きつくような格好になり、 目の前の一夜を見れば、躊躇したような、けれど 我慢がきかなさそうな一夜の顔があった。 「……自分を好きだって言ってる相手に、  そんな事無防備に言うな……」 「っ、ん……っ!?」 三度目のそれは、些か性急なものだった。 唇が合わさったと思えば、唇を舐められて隙間を割られる。 歯列をなぞられ、奥に引っ込んだ舌を絡めとられ 舌同士が交わる初めての感覚に、月乃は混乱するばかりだ。 「っ、ふ、……っん、ぁ……っ、いち、や……!」 「……ん……」 押し返そうとしても、名前を呼んでも 一夜は少しも聞いてくれない。 上顎を舐められ、月乃は押し返そうとしていた手で一夜の服をぎゅっと掴む。 「っんん、ぅ……っ、ゃ、あ……っ」 「……月乃……っ」 少し離れたと思えば、後頭部に手が添えられて もう一度、さらに深く唇が重ねられる。 そしてしばらくの間好き勝手に口内を蹂躙した後、 一夜は名残惜しそうにゆっくりと唇を離した。 「……っは、ぁ……っ、きみ、なに、っ……」 「……月乃、悪い」 「わるいと、おもうなら……する、な……って、  一夜、君……その…………」 息が上がった月乃の顔は涙目で、 その扇情的な表情に一夜は舌で唇を舐め お互いの間にできていた糸をぷつりと切る。 そして、ディープキスによって力が抜けた月乃は ずるずると体勢が下がり、ちょうど一夜の熱が 自分のそれと合わさるような位置になってしまい 言いにくそうにしながら顔を赤くする。 「……月乃、悪い。  我慢が、できそうにない」 今度は明確な意思を持って、ぐ、と押し当てられたそれを感じて 月乃の体が僅かに跳ねた。   

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