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第6話
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ふたりに容赦なく襲われた次の日、当然のことだけど接触しないように、できるだけ避けた。これは僕なりの意思表示だったが。
『龍ってば、怜司とケンカしたのかよ。なにムダな争いをしてるんだか。とっとと仲直りしろって』
クラスの連中から見て、僕が幼なじみの怜司を避ける様子は、喧嘩しているように見えたらしい。昨日までは仲良く喋っていたのが、顔を合わせないようにあからさまに避けていたら、そう見えてしまうだろう。
怜司と繋がりのある友人から、仲直りするように強く説得されても、当たり前だけど事情を話せないし、どうしても仲直りすることはできないと豪語して、その場をなんとかやり過ごした。
「龍!」
放課後になり、部活をしていない帰宅部の僕は自宅に帰るべく、昇降口に向かっていると、背後から呼び止められた。声で怜司だとすぐにわかったので、聞こえないフリして颯爽と前に進む。
「龍ってば、俺にそんな態度とってて、本当にいいのかなぁ。動画、みんなに見せちゃおうかな……」
嫌なセリフがきっかけとなり、足の裏が床に貼りつく。立ち止まった僕に近づいた怜司は、背後からぎゅっと抱きついた。
「腰をへこへこ動かして、兄貴の顔に下半身を押しつけてた動画、ヤバいくらいにヌけるんだぞ」
怜司の右手がブレザーの内側に入り込み、嫌な感じで胸元をまさぐった。まるで、昨日の続きをしているみたいに。
「そんなこと言うのやめろって」
「だってこれは事実だし、証拠だって残ってるだろ?」
「僕は望んでやっていない」
胸元をまさぐる手を掴み、遠くに放り投げる。すかさず反対の手で同じことをしようとしたので、手首を掴んで放り投げつつ、素早く身を翻した。
対面した怜司は、不機嫌を極めた僕の顔を見て、おかしそうにせせら笑う。
「俺のフェラでは、なかなかイけなかったもんな。二度目だからっていうのもあったけど。それでも感じて顔を真っ赤にして、躰をビクビクさせていた姿には痺れたよ」
「もう言うなって!」
「キスしたい」
「ここは学校だぞ、なにを言って――」
慌てて周りを確認しながら怜司の腕を掴み、人の目のいかない階段下の空きスペースに移動した。卑猥な会話を他人が耳にしたときに、間違いなく変な目で見られるのがわかったから、仕方なくふたりきりになる。
「大好きな龍を独り占めしたいんだよ。兄貴にも渡したくない」
「僕はそんな感情を持ち合わせていない。むしろ、ふたりのことが嫌いになった」
「そんな嫌いな相手に散々感じさせられて、甘い声をあげていたのは、どこの誰だよ?」
「好きで出したんじゃない!」
「怒ってる顔も可愛い」
怜司は音もなく近づき、僕の両手首を握りしめた。
「なにするんだっ……離せって」
バスケ部のレギュラーで毎日躰を動かしてる怜司に、帰宅部の僕が勝てるわけない。掴まれた両手首を壁に強く押しつけられて、動けないように磔にされてしまった。
怜司は喜びを表すように瞳を細めて、下半身を僕にグイグイくっつける。そこは既に、カタチを変えていた。
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