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第7話

「怜司、そんなの押しつけるな」 「昨日の思い出しただけで興奮して、ガチガチになっちゃうんだよ。龍のエロい顔や声を全部覚えてる」 「くっ、思い出さなくていい……」  顔を俯かせて苦しげに告げた僕の耳元に、くすくす笑った怜司は顔を寄せる。 「兄貴とは違って、俺のハジメテを龍に全部捧げてるのに。すごく嬉しかったんだ」  弾んだ声で言うなり、耳の穴に舌を容赦なく突っ込む。 「ひゃっ!」  生温かい怜司の舌がスクリューのような動きで、僕の耳を犯す。嫌でも耳に聞こえるぐちゅぐちゅという音に、不快感がどんどん増していくのに、背筋から下半身にかけて、ゾクゾクとしたものが流れた。 「れぇ、じっ…やめっ、やだっ!」 「ハハッ、龍のも大きくなってんじゃん。感じてる証拠だろ」 「ちがっ…あ、うっ!」  僕からの否定のセリフを、怜司の唇が塞ぐ。押しつけられた唇から差し込まれる肉厚の舌は、僕の口内を味わうように上顎を何度もなぞった。ゆるゆると動かされるたびに、ビクッと躰が震えてしまう。 「あー、早く龍のナカにぶち込んで、めちゃくちゃにしたい。俺のでイカせたくてたまんねぇ」  首筋にかかる熱い息が妙にくすぐったくて、肩を竦めてやり過ごす。これ以上、怜司に手を出されないようにしたいのに、両手首を壁に押さえつけられているせいで、防御すらできない。 (ああ、もう嫌だ……。なんでこんな目に遭わなきゃならないんだ)  目をつぶり、次の衝撃に備える僕の耳に、電子音が聞こえた。 「チッ、制限時間だ」  僕の手首を押さえつける怜司の腕から力が抜け、あっけなく解放された。よろよろとその場にしゃがみ込む僕に、怜司はなにもなかったようにほほ笑む。 「龍、また明日な」  僕の返事を聞かずに、颯爽と部活に行った怜司の背中を、黙ったまま見送った。  もうふたりきりにならないことを心に決めて、ゆっくり立ち上がる。怜司の好き勝手にされないようにしなければと、対策を考えたのだった。

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