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第2話 膝の上
食事の後に、僕もお風呂に入って上がると置きパジャマに着替えた。
お母さんが忙しく帰りの遅い日や出張の時には、泊まる事もある。
月の半分以上泊まる事もあった。
だから自分のパジャマを近江家に置かせて貰っているんだ。
「涼しい~!」
リビングに戻ると、エアコンの涼しさを感じた。
そんな僕の様子に海里おじさんは、クスリと笑った。
「結斗、こっちへおいで。DVDを観よう」
ソファに優雅に座っていたおじさんに手招きされて、そそそっと近づいた。
隣にちょこんと座ると、おじさんはリモコンを操作してDVDを再生させる。
「…ひっ」
思わず喉が鳴る。
再生された映像は、昨年の夏に流行ったホラー映画だったからだ。
僕はホラーが大の苦手で、おじさんの体にピタリとくっついた。
この歳にもなって怖がりすぎと言われても、怖いものは怖いのだから仕方が無い。
そのうちに、ジャパニーズホラー特有のおどろおどろしさが増してきて、恥ずかしいことに、おじさんにしがみついていた。
こっそりと視線を画面に向けたり逸らしたり。
ビクビクしている僕の頭上から優しい声が降ってきた。
「結斗、おいで」
「わぁっ」
おじさんは僕の脇に手を入れる。
すると、大きくなって重くなっただろう僕を軽々と持ち上げて自分の膝へと向き合う形で抱き締めてきた。
さすがに驚いた。
「これで怖くないだろ?」
だけど、こんな風に言われると嬉しくなる。
甘えん坊な僕。
この年にもなって甘えん坊なのは、いつもこんな事するから、ぜーんぶ、海里おじさんのせいだ。
高校生なのに、こんな事…翔には絶対に見られたら恥ずかしくてヤバい。
「…」
おじさんに抱きついていると、安心する。
耳に入ってくる音は怖いけど、体温を感じる事で半減されるようだ。
「結斗、全然観てないじゃないか」
「だっ、だって怖いんだもん!おじさん僕が怖がりなの知ってるくせにっ」
そう抗議をすると、そうだったかな?なんて惚けるんだ。
おじさんは僕をからかって遊ぶから質が悪い。
でも、そんなやり取りも楽しくて仕方無い。
時計をチラリと見る。
週末のそれもまだ10時半だから翔は帰ってこないし、おばさんも忙しいだろう。
もう暫くは、おじさんを独占出来る。
そう思うと、僕は嬉しくなり密着した体を益々抱き締めた。
くんくん…
思わずおじさんの匂いを嗅いでしまった。
風呂上がりのソープの香りの中に、おじさんの体臭が混ざっている。
おじさんの匂いって、安心するなぁ~。
小さい頃からだから自分の父親よりも頼りになる。
「結斗~何くんくん匂い嗅いでんだ?」
おじさんがテレビから視線を僕へと向ける。
「加齢臭は、まだしないと思うが。まさか匂うか?」
おじさんが自分の腕を嗅ぎ始めるのを見て、慌てて否定する。
「違うよ、おじさんは良い匂いだよ!」
「本当か~?良い匂いな訳ないだろ」
苦笑しながら頭を撫でてくる。
「本当だもん。安心する匂いだよ!」
僕が必死に言うと、おじさんはニッコリと笑った。
「そうか、そうか。ありがとう」
それから僕の首筋に顔を近づけた。
すんすん…
「お、おじさん!?」
何をしてるのかと思ったら、くんくん鼻の鳴る音と吐息が掛かってきた。
恥ずかしい!
「やめてよ、恥ずかしいからっ」
「結斗だけが匂いを嗅いで、俺だけ嗅がないのは不公平だろう?」
訳のわからない理由を上げて、おじさんは匂いを嗅いでくる。
はぁ、はぁ…ゴクリ、…はぁ
おじさんは、そのうち荒く息を繰り返し始めた。
「ん…っ」
首筋は僕の弱い場所だ。
擽ったがりの僕には堪らない。
思わず声が漏れる。
「おじさん、擽ったいからもう辞めてよ~」
体を捩ったら、お尻の下がゴリッと違和感に当たる。
おじさんの…おちんちんだ。
普段は慣れてしまって意識してないけど、時々当たる。
すると、その大きさに驚いてしまう。
僕も高校生だから、それなりに性にも興味が湧く。
ほんのちょっぴりなら、知識もある。
だから、本当に時々こうして意識してしまい居心地が悪くなってしまうのだ。
「ひゃあっ!」
最後の仕上げとばかりに、おじさんが耳の裏辺りをちゅうっと吸い付いた。
その擽ったさに思わず声が出ると、おじさんが笑ってくる。
「さ、お仕舞い。テレビ観なくちゃな」
何事も無かったかの様な口振りだ。
僕は、おじさんのおちんちんの上に座る勇気が無くて隣に座り直した。
「おっ!?結斗、頑張るな!」
等と検討違いの意見をくれた。
僕は、おじさんのおちんちんから意識を閉め出すために、怖いけど画面とにらめっこしていた。
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