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第5話 朝
翌朝、目を覚ませると隣におじさんは居なかった。
慌てて起きると、洗面所へ向かいタオルを濡らした。
こっそりと自分の性器を拭くと、次に手を綺麗に洗う。
それからドキドキする胸を押さえながらリビングへ顔を出した。
「おはよう、結斗」
「お、おはよう…」
おじさんが明るくかけてくる挨拶に、僕はぎこちなく返事した。
「今朝は驚いたよ~。結斗が隣で寝てるから」
「ごめんなさい…」
僕が謝ると、おじさんがニヤリと笑った。
その表情にギクリとした。
「やっぱり、昨日の映画怖かったか?」
あぁ…映画か…。
「う、うん。だから次は楽しいやつ観ようね!」
意識しない様にしないといけない。
僕は、無理矢理頭から昨夜の事を追い出した。
昨日の事は自分だけの秘密だ。
おじさんが知ったら、きっとショックを受けてぎこちなくなってしまう。
そして、きっと今のような関係が崩れてしまうだろう。
それに、おばさんにも悪いし…。
昨夜想像とはいえ、一瞬でもおばさんを性的に見てしまった負い目がある。
加えて、寝ぼけていたといっても愛する旦那様が隣に住む少年に擬似セックスをしたとなれば、それこそ申し訳ない。
ごめんなさい、おばさん。翔…ごめん!
幸運な事に、おじさんは昨夜の事を覚えていない様だ。
笑顔で朝食の準備をしてくれている。
「珍しいな、結斗が寝坊なんて」
おじさんに言われて、慌ててしまう。
朝食の準備も普段お世話になっている僕の仕事…というか、自主的にこなしている日課だった。
「あっ、ごめんなさい」
「いやいや、そういう意味で言ったんじゃないんだよ。たまには寝坊しなさい。君はまだ子どもなんだから」
目の前に、バターたっぷりのパンが置かれる。
「まぁ、これくらいしか用意出来ないけどね」
ホットミルクとサラダが並び、向かいにおじさんが座る。
「さぁ食べて」
「いただきます」
おじさんと一緒に手を合わせて、挨拶をする。
「翔は結局友達の家に泊まったらしいんだ。全く…連絡くらい入れろと、あれほど言っているのに」
おじさんが眉間に皺を寄せた。
子煩悩なおじさんらしい発言に、翔のぶっきらぼうな様子を思い出して笑ってしまう。
「何だ?急に笑って」
「だって!おじさんは翔の事が大好きなのに、翔ってば…フフフッ」
僕が笑うと、おじさんも目を細めて笑った。
「本当に…大好きなんだけどね~」
それから両手を組んで、顎を乗せた。
「どうしようかな?」
おじさんの視線にぶつかり、僕は無意識に俯いていた。
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