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第6話 昼

仕事だというおじさんが部屋へと籠った。 パソンコンで、やることがあるらしい。 大人は休みの日でも大変なんだなと思いながら、一人ゲームをしていた。 「そろそろお昼ご飯作ろうかな」 すると玄関で音がしたと思うと、おばさんがリビングのドアを開けて入ってきた。 「あら、いらっしゃい!」 「っ!…お邪魔してます」 慌てて挨拶をすると、おばさんが首を傾げた。 後ろめたさから 驚きすぎたかと焦る僕に、おばさんが苦笑した。 「急に声掛けたから、ゴメンね」 おばさんは、いかにもキャリアウーマンといったパンツスーツが似合っている。 親子なだけに翔と似ていて、二重の目と筋の通った鼻が際立つ美人な人だ。 スーツに包まれた胸も大きい。 おばさん、昨日は本当にごめんなさい。 心の中で謝る。 だけど不思議だ。 面と向かって美人なおばさんと話をしても、昨夜の想像で絡んだ記憶に体が沸き立つ事は無かった。 きっと、素敵な体をしているだろうな。 なのに…。 昨夜の自慰をしていた時の高揚感は…。 「結斗君、一人なの?翔とあの人は?」 おばさんは冷蔵庫からお茶を出すと、コップに入れてゴクゴクと飲んだ。 「あ。翔は友達の家に泊まっていて、おじさんは二階で仕事です」 「あら、そうなの。ちょっと着替えて来るわね」 おばさんは、そう言いながら二階へと上がって行った。 おばさんが、おじさんと会うのは三日ぶりだ。 きっと二人とも今頃嬉しそうに会話を交わしているんだろうなぁ。 「どんな事を話してるんだろう…」 二人の様子が気になる。 おじさんは、どんな顔をしておばさんを見つめてるんだろうか。 キスとかしてるのかな? 今まで二人の仲の良さは目の当たりにしてきている。 それこそ翔が嫌がる位に仲が良い。 将来結婚したら、あんな夫婦になりたいという憧れさえ抱いたけど…。 今は何故か胸がモヤモヤしてしまう。 僕はゲームをセーブして終えると、台所に向かった。 「お昼は、おじさんの好きなお好み焼きにしよう」 うん。そうしよう。 僕は、キャベツを手に取った。

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