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第99話 王子様の出来上り?
着る服も無いし、おじさんは悲しそうに眉を垂れているので素直にプレゼントを受けとることにした。
「ありがとう」
お礼を言うと、おじさんが調子に乗って頬っぺたを指差す。
キスをしろというのだから。
何だか恥ずかしくて戸惑ったけど、またまたおじさんが悲しそうにするから軽く唇を寄せた。
「さぁ、着替えて。俺もこっちで着替えるから」
おじさんに言われて、さっきの寝室へと戻り服を取り出す。
昼間に買って貰った服とは違って、涼やかな色合いのジャケットに白いシャツ、パンツの裾は短めで。
「リボン…?」
リボンタイを自分ではやっぱり結べなくて、そのまま寝室を出た。
リビングに戻ると、おじさんが待っていた。
「お、おじさん!!」
「似合ってる、カワイイよ結斗!!」
待っていたおじさんは、バスローブ姿から一変。
ダークブルーのスーツを見事に着こなしていた。
カッコイイ姿にポヤッとしたのも一瞬、おじさんに抱き上げられる。
唇にチュッチュッされ、ニッコリ微笑まれた。
その顔が優しすぎて何も言えない。
ゆっくりと床へと下ろされて、向かい合う。
おじさんがリボンを綺麗に結んでくれた。
「あ、ありがとう…」
僕の頭を軽くポンポンした後、おじさんは嵌めていた高そうな腕時計を確認した。
「よし、そろそろ時間だな」
「ご飯?」
「ここに予約入れてるから」
どうやらこのホテルの中の店に行くみたいだ。
さぁ行こう!と思ったら、その前に…と止められた。
「王子。こちらをどうぞ…」
そう言っておじさんがスッと差し出したのは、ピカピカ光沢のある靴。
「さぁ履いて」
「うん…」
もう何を言ってもムダだから素直に足を入れる。
「これで俺の王子様の出来上がり」
僕の全身を満足そうに眺めた。
恥ずかしくて俯くと、おじさんに手を握られた。
「さぁ、行くか?!」
「うん!」
今度こそ大きく頷いて、おじさんを見上げた。
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