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第40話 目が覚めて

あ。 この感じは…。 昔から何度も触れてきたから知ってる。 これは…。 海里おじさんの…。 でもちょっと撫で方が違う…? 僕がゆっくりと瞼を押し上げると、見知った天井が見えた。 僕の為に用意された部屋だ。 数回瞬きをしてから一気に意識を覚醒させる。 「…あれ?」 間抜けな声を出していた。 だって、だって! 側について僕の頭を撫でていたのは、海里おじさんの息子である翔だったから。 どうりで撫で方が違うと思った。ってことは僕ってば、それだけおじさんに撫でられた経験があるのか…。 「翔…」 「おー。大丈夫かよ?」 手を引っ込めながら顔を覗き込んでくる。 心配してくれているのか、眉間に皺を寄せてジロジロと見てくる。 まさか僕とおじさんがセックスしたなんて…バレてはないよね? 内心ソワソワしつつも表情に出さないように気をつけた。 うっかり顔に出さないともお腹に掛けられていたタオルケットで目から下を隠した。 「家に帰ったらおまえが寝込んでるって聞いたから。顔色は随分いいようだな」 「う、うん…。あの、おじさんは?」 エッチをした後という状況から、心細さについ翔の心配を流してしまった。 「オマエ、心配してる相手に酷くね?」 「ご、こめん!」 慌てて謝ると、溜め息をつかれる。 「まぁ最近忙しくて、おまえと話したりとかしてなかったからな。でも俺を無視とか信じらんねぇ」 「無視したわけじゃ…っ」 「ははっ!冗談だよ。オマエからかうと楽しいわ~」 楽しそうに翔が笑う。 そうなんだ。子どもの頃から翔にはからかわれてばかり。 悪気は無いと分かっているんだけど…。 「結斗。休みの日とかオヤジにコキ使われてるんじゃないのか?嫌なら断れよ」 「えっ、大丈夫だよ。おじさん優しいから…」 そこまで言って自分で恥ずかしくなる。 息子相手に何を言っているんだろう? 「ふーん…。ならいいけど」 顔が熱くなり目を泳がせていると、翔が頭を掻きながらも納得してくれた。 翔から見て、僕っておじさんに使われてる感があるのかな? おじさんが優しいことなんて、知ってるはずだけど。 「まぁ、オヤジは結斗に甘いからな。そんな事あるわけ無いとは思ったけどよ。今まで寝込むなんて無かったじゃねぇか」 初めておじさんとセックスした時も身動き取れなかったけど、翔には会わなかったから寝込んだ事を知らないんだ。 「俺もオフクロも出てる事多いから。俺たちが居ない間に、料理とか無理してんじゃねぇのか?」 勘違いだよ。 僕は好きで料理してるし、そんな事で疲弊しているんじゃない。 絶対に翔には言えない事なんだ。 「ううん。無理はしてないよ。ただちょっと寝不足で体調崩しただけだから…」 苦笑しながら答えると、呆れた声を上げられた。 「寝不足…それで体調崩すとか、どんだけ虚弱なんだよ」 そう言いつつも、心配そうに見つめてくる瞳は優しい。 あ、この瞳。 海里おじさんに似てる。 やっぱり親子なんだなぁ…。 翔…ゴメンね。 僕、おじさんとセックスしたんだ。 一方的に求められ強引に奪われた初めてと違って、今回は自分でも最後は求めてしまっていた…。 快楽に溺れた。 愛撫に感じて、応えていた自分を思い出してしまった。 この後おじさんと、どんな顔をして会えばいいんだろうか…。 悩む僕に翔が不思議そうな顔で「起きれるか?飯出来たらしいから呼びに来た」と言った。

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