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第48話 親友
心ウキウキしながら、けれどちょっぴり罪悪感も片隅に残しつつ。
「翔、おはよ」
「おう。お前もう大丈夫なのか?今日も休むかと思ったけど…」
側まで行き顔を見上げて挨拶をすると、翔は眉間に皺を寄せて僕を見下ろしてきた。
翔は普通に登校していったので、僕の朝起きてからの様子は知らない。
おじさんに休むように言われたんだけど、いつまでも病気じゃないのに寝込んでいられない。
しかも人様の家でなんて。
僕の気迫が伝わったのか、それならばとおじさんが学校まで送ってきてくれた。
事情を話すと、翔が苦笑する。
「ふっ。相変わらず甘いなぁ、オヤジのやつ」
実の息子を放っておいて、お隣の子どもを可愛がるなんて確かにおかしな話だ。
ごめんね、翔。
「まぁ、元気になって良かったな。無理すんなよ」
そう言いながら頭をくしゃっとされる。
「う、うんっ…分かってる」
翔の大きな掌は、おじさんを連想させてしまい僕は顔を赤くした。
ちょっと動揺したけど、なんとか誤魔化して別れを告げた
「ふーっ。ドキッとした」
僕は足元をフラフラさせながら自分のクラスへと入った。
「おはよ、結くん!」
「おはよう、陽くん」
僕が自分の席へと着くと、直ぐに真壁陽太がやって来た。
陽くんは背格好と性格が僕と似ていて、とっても仲が良い。
僕と違うところといえば、髪は薄茶でちょっとだけ天然パーマがあることと、目がパッチリちょっぴり猫目、運動神経が良いからソフトテニス部に所属していること。
「結くん、体大丈夫?」
前の人の椅子に腰かけて、後ろ向きになった陽くんが、休んでいた僕を心配して顔を覗き込んできた。
「うん、ありがと。もう大丈夫なんだ」
「なら良いけど…」
僕がそう言うと、陽くんがホッとした顔をした。
本当に心配してくれていたんだなぁ~と思うと嬉しくなる。
「…っ」
思わず口に出しそうな言葉をのんだ。
嬉しくて、ついおじさんの事を話しそうになってしまった。
いくら親友の陽くんにも言えないよ。
世の中の学生たちは、友人とコイバナなんてしてるんだよね。
それが出来ないなんて、ちょっと残念だなぁ。
いつか言えたらいいな。
キーンコーンカーンコーン、とチャイムが鳴る。
「あっ、チャイム鳴った。僕、戻るね」
僕が思ったと同時にチャイムが鳴って、陽くんは自分の席へと戻っていった。
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