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第49話 お昼ご飯
お昼ご飯の時間がやって来た。
漸く苦手な勉強から脳みそが解き放たれ、僕は机に突っ伏した。
「はぁ~疲れたぁ」
「結くん、お疲れ~!お腹空いたね」
僕の頭上から陽くんの声が降ってきた。
陽くんも僕と同じく勉強が苦手なので、午前の授業が終わって清々しい表情だ。
「うん!お腹空いたね。…あ~ゴメン。僕、今日はお弁当じゃないんだ」
今朝も本調子じゃなかったから、お弁当作る余裕が無かったんだよね。
「購買でパンでも買おうかなぁと思って」
「じゃ、一緒にパン買いに行こう!」
陽くんは、お弁当を手にしていない方の手をグーで掲げ宣言した。
「うん!何パンにしようかなぁ?」
普段、自分の手作り弁当なのでパンを購買で買うなんて一大イベントに等しい。
僕と陽くんは、揃って教室を出た。
歩いて階段を降りて、渡り廊下の向こうに購買と学食がある。
二人で会話を楽しみながら辿り着いた購買前で、僕は愕然とした。
「…え。売り、切れ?」
購買前のガラス窓に『本日売り切れました』という無情な貼り紙が…。
「わぁ…。ど、どうする?」
僕と同様に、陽くんもアワアワしていた。
「どうしようかなぁ~」
僕が意気消沈すると、陽くんが「ねぇねぇ」と肩を軽く叩いて来た。
「学食ならまだ売り切れなんてしてないよね?行く?」
こうして足を踏み入れた僕と陽くんは、初めて入った学食に気分高揚した。
学食は、一年生から三年生まで男女が沢山、食事と会話を楽しんでいた。
独特の雰囲気に若干戸惑いつつ、僕たちは進んだ。
「わぁ~…スゴいね」
「学食って、こんな風になってたんだぁ」
僕の呟きに陽くんが頷いた。
白と優しい緑で構成された学食内は、大きめの窓から射し込む太陽の光で眩しいほどにキラキラしていた。
長テーブルが並べられており、それぞれが思い思いの席に座って学食を頬張っていた。
「じゃぁ、僕は席を探しておくね。見つけたら携帯に連絡入れるから」
「うん分かった」
陽くんと学食の券売機前で別れた僕は、何を頼もうかと眉間に皺を寄せた。
優柔不断な僕はよく悩んで、おじさんから皺を指摘されるんだ。
ほら、やっぱり海里おじさんの事を思い出してる。
「…僕」
これからどれだけ海里おじさんを好きになっていくんだろう?
列の前に並んで仲良くしている男女の二人に、なんとなく自分とおじさんの姿を重ねていた。
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