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第51話 新しい友だち
僕の頭に大きな掌が降ってきて、グシャグシャと髪の毛をかき混ぜる。
「冗談だって…」
クスリと笑った国見くんは、僕を抜かしてそのまま歩いていく。
大きな後ろ姿が、カッコいい。
国見くんは、翔とは違って男っぽい逞しさ?みたいなものがある。
海里おじさんや翔は和と洋の良いとこドリみたいな美形だけど、国見くんは男っぽい…大和魂背負ってます的な感じだ。
僕が成れるとしたら、国見くんみたいな感じが良いなぁ。
翔と一緒に居ることが多いからもちろん知っていたけど、他の友だちみたいに騒ぐ事もないし。
そんな事を思いながら歩いていくと、陽君が座っている斜め後ろに国見くんが座ったのが見えた。
「あ」
「おう」
僕が思わず声を出すと、国見くんも視線を向けてきた。
「何、知り合いなの?」
僕と国見くんのやり取りを見た陽くんが、コソッと訊いてきた。
普段交流の無さそうな僕と国見くんに接点が有るのを不思議そうにしている。
「うん。翔の友だちで、僕のおやつの味見してくれる人」
「ああ~!そう言えば時々おやつ持っていってるもんね、結くん」
僕が定期的におやつの差し入れをしているのを知っている陽くんが納得顔で頷いた。
「あれ?結斗」
今度は何だと思うまでもなく、よくよく知っている声が降ってきた。
「お前が学食って、珍しいな」
そこへお盆にカレーを載せた噂の翔が、いつものメンバーを引き連れてやって来た。
当然の様に国見くんの隣に腰を下ろすと、他のメンバーもガタガタ椅子を鳴らして座っていく。
「サンキュー、国見」
他のメンバーが礼を言うところをみると、どうやら国見くんが席を取るようになっていたみたいだ。
「お弁当作る時間なくて…」
僕が答えると、翔は「あぁ。そりゃそうか」と納得した顔でスプーンを手にした。
「一緒に食うか?滅多にないだろうし」
翔の提案に、他のメンバーも「おっ、いいんじゃね?」と言ってカモンと手招きしてくる。
「どうしようか…陽くん、どうする?」
僕の言葉に陽くんが目を泳がせている。
「え~っと、あのぉ…」
「あわわわ」
迷っている間に、ノリの良い翔の仲間達が勝手に僕と陽くんのお盆を自分達の席へと運んでしまう。
「二人だと淋しいだろ?」
「俺達友だちなんだから、遠慮するなよな」
友だち?いつから…まぁ、いいか。
「ほらほら、座って~!」
ノリの良い仲間達の強引な勧誘で、僕と陽くんは翔と国見くんの隣に腰を落ち着ける事になってしまった。
僕は良いけど、陽くんは大丈夫かなぁ?
「ど、どうも…」
陽くんが挙動不審にぎこちなく笑っていた。
やっぱり☆
平凡に生きてきた僕達には、本来縁の無い友だちが、本日新しく出来ました。
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