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第62話 番外編『幼馴染み・前編』

※いつも、読んで下さってありがとうございます(о´∀`о)こんなに沢山の方に読んで頂けるなんて嬉しいです! 反応頂けると、頑張ろうという気持ちが湧いてきます♪ そんな訳で、お礼の翔視点での番外編です。 ☆☆☆☆☆ 俺の名前は、近江 翔。 サッカー部でレギュラーとって毎日青春してます。 …って、まぁ適度に遊びもしてるんで充実しまくりの毎日。 イケメンとか言われるのは、悔しいけど両親の優秀な遺伝子のお陰なので感謝してるよ、一応。一応、ね。 オフクロは美人でキャリアバリバリ働く女で、一度会った友人たちはマジで涎を垂らす勢いだった。 顔もよければ、胸もデカイから仕方ない。 ヤツラが邪なオーラを垂れ流しながら、その後部屋で見たエロDVDは、俺を除いて満場一致で『隣の人妻』だった。 一方オヤジはというと、通販会社の社長で一般人では収まらないタイプの人間だ。 社会的地位もあれば、もちろん金も持っている。 顔もTVの俳優もパリコレモデルも真っ青なイケメン、ハンサム、美形、美男子という有りとあらゆる言葉がピッタリの男だ。 なので此方もオフクロ同様、皆から憧れの視線を向けられた。 そんなオヤジの事を内心自慢に思っていたけど、なんか最近つい疑いを持って見てしまう。 それは…。 「おー…結斗」 校舎の廊下を友人数人とブラブラ歩いて居ると、向こうから移動教室なのか幼馴染みがエプロンを手にして急いだ様子でやって来るのが見えた。 どうやら遅れた様だ。 どんくさい結斗らしい。 少し慌てた表情だが、基本真面目なヤツだから廊下を走るなんて事は出来ないのか、速足といった感じだ。 遅れてるとか俺には関係ないので、のんびりと声を掛けると、律儀に止まる。 「あっ、翔。僕これから調理実習なんだ」 そう言いながら、ニコリと笑って持っていたエプロンを掲げた。 余程嬉しい授業らしい。 嬉しそうに笑っちゃって…。 「ふーん、良かったな。オマエ料理得意だもんな」 俺が言うと、隣の友人が「えっ、そうなんだ~?」と呟いた。 「お~。その辺の女より、断然ウマイぜ」 俺の言葉に、結斗は周りに人が居るためか褒められて恥ずかしいらしい。 俯き耳を赤くする。 「そ、そんなことは…」 否定しているが、事実だろ? 事実を言ったまでだけど、俺。 コイツの飯は、なかなか美味くて毎日でも食べたい。 けれど俺は部活に女にと忙しく、この頃は食べることが出来ていなかった。 その代わりオヤジは、ほぼ毎日コイツの飯を食っている。 「今晩は何作る予定?」 何となく訊いてみる。 結斗は赤くした顔を上げて俺を見ると、少しして「クリームコロッケ」と答えた。 それは結斗の好物だけど、俺は知っている。 きっとオヤジのリクエストに違いない。 基本毎日居るオヤジの好物を優先して作っている結斗。 オヤジも子どもっぽい味覚が健在で、よく顔に似合わない物を食べている姿を見るからな。 そして、手にしているそのエプロン。 いつだったか、夕食の時にオヤジが『毎日ご飯を作ってくれてありがとう』と言いながらプレゼントしたヤツだ。 赤と白のチェックで、リボンのついたデザインはどうみても女物。 だけど、鈍いコイツは気がつかずプレゼントを貰った嬉しさが勝っていた。 『嬉しいです。ありがとうございます!』と何度も目尻を垂らして喜んでいた。 まさか調理実習に持ってくるとは…。 「なら、次の休憩覗きに行くからヨロシク~」 俺はそれだけ言うと、手を振って結斗と別れた。 美味しいものを頂けるはず~。 周囲の友人連中は何度か振り返りながら「また後で~」と言いながら結斗に手を振っていた。 派手目な連中に慣れていない結斗は、若干オドオドしていた。 その様子が面白いので、つい意地悪く笑ってしまった。 キーンコーンカーンコーン チャイムが鳴り始めて、慌てた様子で行く後ろ姿…うん。なんか、危なっかしい。 次の休憩時間、何故かさっきの連中も調理実習室に着いてきた。 別に来なくても良かったんだけど? ん。良い匂いがしてきた。腹減ってきたな…。 3時のおやつの時間に丁度いい。 コソッと顔を覗かせると、顔見知りの女が気がついた。 「やんっ、翔じゃーん。どうしたのぉ?」 読者モデルをしているという、所謂セフレの璃子がデザイン重視のエプロン姿で此方へやって来た。 オマエ呼んでねぇし。 「ん~ちょっとな…」 璃子を放っといて俺は結斗を探す。 フリルの付いた短目のエプロン姿の璃子が自分を見ない俺にぶーぶー文句を言っている。 知るか。 なんか勘違いしてんだよな、この女。 彼女だとか思ってんの? 体だよ、体。 面倒臭いと無視を決め込む俺に代わり、他のメンバーが「カワイイ」だなんだと誉めている…オマエらソイツ頼むわ。 璃子を放っといて顔を部屋に向ける。 お。はっけーん! 他より頭ひとつ分低い結斗が、テキパキ動く後ろ姿が見えた。

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