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第4話
エレベーターに乗り込み、目的の階で下りる。
一点の曇りもない綺麗な廊下。眩しい程明るい照明。壁にある案内板図を見つけた夏生が、那月と一緒に確認する。
「んじゃ、また後でね~!」
手を振りながらキャリーバッグを転がす那月が、ファンシー柄のショルダーバックを抱えた萌を引き連れていく。
それを見送った後、夏生を先導に那月達とは反対方向へと向かう。
と。少し歩いた所で、目的の部屋番号を見つける。
「……え……」
偶然だろうか。夏生の持っていたカードキーを覗けば、廊下を挟んだ部屋の番号と一致していた。
「はっ? お向かいさんじゃん!!」
目を見開きながら、嬉しそうに燥ぐ夏生。
「そうだね」
答えながら、チラリと竜一を伺う。
別々の部屋になっちゃったけど……近くにいるような嬉しい気持ちが芽生え、僅かながら僕の心を優しく擽る。
*
部屋に入ると、右側の壁沿いに二つ並んだベッドが目につく。
清潔感溢れる白いシーツ。白地にチャコールグレーの太いラインが入った、ふかふかの掛け布団。大きめのピロー。
サイドテーブルにはお洒落なスタンドがあり、反対側の壁には48インチはありそうな薄型テレビが掛かっている。
「……佐倉は、どっちのベッドがいい?」
これまで一度も会話を交わした事のない佐倉に、思い切って声を掛ける。
「……」
声が小さくて、聞こえなかったんだろうか。
再び我関与せずな態度を取る佐倉が、入って直ぐのベッドに座る。
仕方なく、奥のベッドに移動する。
大きな窓に掛かる、シルキーホワイトのカーテン。その隙間から、すっかり夜になった街のネオンが、キラキラと輝いているのが見える。
ベッドと窓際の壁の間に、持っていたバックを置く。そうしながら佐倉の様子を伺えば、いつの間に拾ったんだろう。テレビのリモコンを画面に向けていた。
「……」
背が高く、手足の長いモデル体型。横から見ると、鼻が高いのが目立つ大人顔。長い前髪の隙間から時折覗く、切れ長の綺麗な眼。無口で無表情なせいもあって、何処かミステリアスな雰囲気が漂う。
佐倉は、同じクラスになってから初めて知る存在で。殆ど接した事がないせいもあって、何を考えているのかよく解らない。
まるで、新種の生物。今まで出会った人達とは、少し毛色が違って見える。
それが、いきなり同室なんて……
これからどう接していいか解らず、妙な緊張感が走る。
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