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もう一人の外の人
俺の好きな人には他に想いを寄せてる人がいる。
俺もあいつも完全なる片想い。
それでも俺は自分の想いを伝えることが出来た。 案の定フラれてしまったけど後悔はないよ。
友達として側にいられる──
誰にも弱さを見せられない充の、唯一の拠り所になれればいいと伸之は自分の想いを閉じ込めて寄り添うことを決めた。近過ぎず遠過ぎず、それでも充に一番近い位置にいられる。
そう、それだけで満足だった。
休みの日は、たまに充を誘って遊びに出かける。 勿論、伸之の中ではれっきとしたデートだった。 プラトニックで健全なデート。 ……手だって繋がない。
一昨年隣町に水族館が出来た。
この辺りではあまりレジャー施設なんかはないから、休日問わず大変に賑わっているらしい。
どうしても伸之は充と一緒に水族館に行きたかった。水族館や動物園、映画などそれらはデートの定番のイメージがあったから。自分のことを全く意識してくれない充でも、今までのショッピングや食事をするだけのデートより、雰囲気を作ればデートらしく感じてくれるんじゃないかと期待した。
親友という位置で満足していると言ったら半分嘘になる。やっぱり好きな人には振り向いてもらいたい、そう思って少しだけ伸之は欲を出したのだった。
風の噂で大学時代仲の良かった友達の友達がその水族館で働いていると聞いた。友達の友達……と言うだけで、確か一度だけ一緒に遊んだ記憶があるけど、はっきりいってそいつの事はあまり覚えてはいなかった。それでもそれを口実に使えるから好都合。確か充も知らない人物じゃなかったはず。特別仲良くはなさそうだったけど、知った奴ならきっと一緒に行ってくれるはず……そう意を決して伸之は充を誘ったのだった。
話をした時、充もその友達の事にはあまり触れなかったけど、単に記憶が薄いだけなのかとその時は気にも留めなかった。
水族館に二人で向かう。
休日で少し混み合うバスに乗り、いつもより密着する体にドキドキした。混雑から守ってやる風を装い腰に手を回して支えてやる。うまく緊張を隠せただろうか。緊張した伸之が手を回しても嫌な顔もせず笑顔でお喋りを続けている充を見て、この上なく幸せに感じた。
「なんかデートみたいだな」
伸之は初めて「デート」という言葉を口にしてみた。内心ドキドキ……でも照れ隠しに冗談っぽく言ってみた。
「はは、そうだな。でもいつも俺らデートしてるじゃん」
充はそんな伸之の気を知ってか知らずか、そう言ってはにかみ笑顔を見せる。
──冗談だよね?
自分の冗談に乗っかっただけだよね?
伸之は戸惑いつつも、本当に今までもデートだと認識してくてたのなら素直に嬉しいと心躍らせた。
少しずつでもこうやって距離が縮まって、いずれ恋人になれたらいいのに……。
伸之は淡い期待を胸に抱きながら、充と共に水族館へ入った。
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