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俺に委ねて…
「でもさ、正直ちょっとイラっとする…… 何やってんの? って。充は俺のなのに…… ねえ、あいつにキスされたの? 体に触れられたってどのくらい? 俺の知らないところで何されてんの? なあ……」
さっきまでの優しい表情が一変し、伸之は嫉妬の混じった険しい表情を見せる。抱きしめていた手がぐっと充の肩を掴んだ。
「んっ…… どのくらいって……ちょっと、待って……伸之、それ痛い……」
ぐいぐいと押され、ベッドに座らされる。「キス、させて」と低い声で言われ、そのまま押し倒されてキスをされた。
伸之の舌が自分の口内に侵入してくる。頭を押さえつけられての乱暴なキスが、以前弘樹にされたそれと記憶が重なり充は怖くなってしまった。伸之の手が雑に充の服を捲り上げる。直接肌に触れ、弄るその手は震えていた。
伸之の複雑な感情が伝わってくる。嫉妬、怒り、もどかしさ……それでも自分に対する愛情もちゃんと伝わってくる。余計なことを言ったばっかりに、伸之に辛い思いをさせてしまった。
充はやっぱり言わなきゃよかったと、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
「ご……ごめん、伸之……ごめん。俺、お前のこと……好きだから。エッチもしたい……俺、こういうの初めて……だから、だからお願い、もっと優しくして……怒らないで……ごめん。伸之……」
乱暴にズボンを脱がされ伸之の手が下着の上から股間に触れる。このまま伸之の好きにさせてもいいと思ったものの、やっぱり強く押さえつけられていることに恐怖してしまい、泣きながら伸之にそう訴えてしまった。怒りに任せた伸之の行動に怖いと思っても、触れられていることの嬉しさ、愛おしい人からの乱暴な愛撫に、充は勃起していた。
嫌なんじゃない…… 初めてのことはこんな気持ちでしたくないという思いから、恥を忍んでそうお願いをした。自分のせいで伸之がこんな風になってしまったのは百も承知。
充の言葉に伸之は我に返った様子で慌てて涙を拭う。
「ご、ごめん。泣かせたかったわけじゃないんだ……ごめんな、ああ……泣かないで。俺も初めてだし、いっぱいいっぱいなのかもしんねえ」
優しい顔に戻った伸之は「余裕なくてごめん」と笑い、充の頬をそっと撫でる。ホッと安堵し充もその手をそっと握った。
「こんな事、言わなきゃよかったんだよね。俺、自分の抱えた罪悪感を軽くしたかったから、だから余計なこと言った……伸之を傷つけるつもりはなかったんだけど、でも俺、嫌われたくない。ごめん、勝手で……」
「嫉妬で気が変になりそうなくらいは俺は充のことが大好きだし大切だと思ってる。言わなきゃよかったなんて言わなくていい。ごめんな、これは単に俺のヤキモチだから…… 打ち明けてくれて嬉しかった。これかもちゃんと話して……俺に遠慮とかいらないから……」
そう言って伸之は優しくゆっくりとキスをした。そのままそっと充の股間に手を伸ばす。ビクッと反応する充の耳元で「優しくするから、俺に委ねて……」と囁いた。
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