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第17話

無駄にドキドキしながら長谷の答えを待つ。 長谷はといえば、俯いたままフリーズしている。 微動だすらしないし、声も発さない。 その間は、拷問に近いものがある。 キスの許可を得ようとして、待たされているのが今の現状だ。 これをマヌケと言わずなんというのか… 「…」 「…は…長谷さーん?…」 ようやく長谷の肩がビクッと跳ねて俯いていた顔が上がった。 「………あ、あの…」 「ん?」 「…し…した事…ない…」 (うん、でしょうね。) 「じゃぁ、長谷のファーストキス、俺に頂戴。」 「…ッ……!!」 ほんの少し見える長谷の頬はピンクだ。 「…まぁ、そうだよなぁ。急には困るよな。悪い悪い。あれだ、ゆっくりな。」 ポンポンとモサ髪を軽く叩くと長谷は肩をすくませた。 「…違ッ…嫌とかじゃ…ない…」 「ゆっくりでいいって。初心者の長谷相手に俺が急ぎすぎただけだから。」 長谷は、首を左右に激しく振って見せた。 モサモサの髪が風に靡く。 「…氷上くんは、悪くない…き、キスは…その、は…恥ずかしくて…」 「はぁ…ゆっくりでいいとか言っといて、俺も往生際が悪いなぁ…」 「…?…」 深い溜息を吐き出す。 諦めようと思ったが、無理だ。

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