18 / 45
第17話
無駄にドキドキしながら長谷の答えを待つ。
長谷はといえば、俯いたままフリーズしている。
微動だすらしないし、声も発さない。
その間は、拷問に近いものがある。
キスの許可を得ようとして、待たされているのが今の現状だ。
これをマヌケと言わずなんというのか…
「…」
「…は…長谷さーん?…」
ようやく長谷の肩がビクッと跳ねて俯いていた顔が上がった。
「………あ、あの…」
「ん?」
「…し…した事…ない…」
(うん、でしょうね。)
「じゃぁ、長谷のファーストキス、俺に頂戴。」
「…ッ……!!」
ほんの少し見える長谷の頬はピンクだ。
「…まぁ、そうだよなぁ。急には困るよな。悪い悪い。あれだ、ゆっくりな。」
ポンポンとモサ髪を軽く叩くと長谷は肩をすくませた。
「…違ッ…嫌とかじゃ…ない…」
「ゆっくりでいいって。初心者の長谷相手に俺が急ぎすぎただけだから。」
長谷は、首を左右に激しく振って見せた。
モサモサの髪が風に靡く。
「…氷上くんは、悪くない…き、キスは…その、は…恥ずかしくて…」
「はぁ…ゆっくりでいいとか言っといて、俺も往生際が悪いなぁ…」
「…?…」
深い溜息を吐き出す。
諦めようと思ったが、無理だ。
ともだちにシェアしよう!