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第19話

翌朝… 前髪にキスしただけで幸せホルモンを大量放出している俺が居る。 もちろん、今朝は下駄箱に果たし状なんてもんが入ってるわけが… (あったぁぁぁー!?why!!なぜに!?どうして!?長谷さん、why!!) 長谷を問い詰めてやるべく、果たし状を片手に教室に走った。 途中、教員に怒鳴られたが今の俺にはそんな事は関係ない。 教室の引き戸を勢いよく開いてズンズン長谷へ一直線だ。 「はーせー!!」 「…ぁ、う……ひ、氷上くん…お、おはよ…」 気配を消していた長谷は、相変わらずのボヤボヤ感だ。 「あぁ、おはよう。って違う!違わないが、違う!!コレはどういう事か説明してもらおうか、長谷。」 ドンッと果たし状を机に叩きつけるとビクッと長谷が震えた。 「…よ、読んで…くれた?…」 「は?…あ、いや、まだ…」 「……読ん…で?…」 確かに問い詰めるにしても読んでからというのが筋というものだ。 納得して果たし状を開いた。 ーーー 大好きな氷上くん、おはようございます。よかったら、今日の放課後は僕と一緒に帰りませんか? ーーー 「帰りましょう!是非に!是が非でも!!」 当然即決だ。 答えを聞いた長谷は頬にえくぼを作った。 「…良かった…嬉し…」 「普通に言ってくれればいいだろ?」 「…だ、だって…恥ずか…しい…」 「いやいや、こっちの方が恥ずかしいだろ、普通。」 長谷の普通は他のヤツの逆を行くらしい。 こんな可愛い物を貰ってしまった俺の方が恥ずかしい。 心臓がキュンキュンする。 「お前!いつの間に長谷くんと仲良しになったんだ、裕太!!ずるいぞ!!」 横から顔を出したのは恭哉だ。 「あぁ、恭哉か。おはよう。」 「おうおう。で、俺に長谷くんを紹介しろ!そして長谷くんを俺に紹介しろ。」 「なんなんだ、その食いつきは…」 恭哉の食いつき具合はとりあえず置いておくとして、クラスメイトに長谷が一応認識はされていたという事実には少しホッとした。

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