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第20話

つまり、恭哉は長谷を認識していたが、俺は長谷を認識していなかったというわけだ。 なんだか申し訳ない気分だ。 「長谷。」 「…は、はひ…」 長谷はテンパっている様子… 気配を消して学校生活をしてきた長谷にとって、恭哉のテンションは正直厳しいものだろう。 「このうるさいのは村山恭哉。俺の幼なじみだ。」 「やぁやぁ、よろしくな、長谷くん!ほれほれ裕太、早く早く!!早く紹介しろって!!」 「で、彼が長谷倫也。」 「おーい、俺はうるさいので長谷くんは彼かぁーい!」 「当たり前だろ。」 「この扱いの差っ!!裕太ったらひどぉーい。恭哉くん泣いちゃーう。」 「キモ…、つか誰?」 「俺。」 「長谷、コイツは悪いヤツじゃないから仲良くしてやってくれ。…バカだけど。」 「ひどっ…」 「…よ、よろ…しく…」 「おぅ、よろしくな、倫也!」 (おい、待て待て!コイツ今倫也っつった?俺もまだ名前で呼んだ事ないぞ!!) 恭哉は長谷の手を握ってブンブン勢いよく縦に振った。 長谷はされるがままだ。 「おい、馴れ馴れしいぞ、恭哉。長谷がビビッてるだろ。」 「いいだろ、友だちなわけだし。しっかし、念願叶って良かったぜ。クラスメイト全員と友達になる目標達成ー!!」 「はぁ?なんだそりゃ。」 「村山恭哉、次は校内全員と友達になる事を目標とします!!」 恭哉は友達100人できるかな♪…と今にも歌いだしそうな勢いだ。

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