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第21話
長谷は恭哉に友達と言われた事が嬉しかったのか、少し口元が緩んでいる。
友達が欲しくないわけじゃないらしい事がわかった。
だとしたら関わり方が分からないか、極度の人見知りか…
まだまだ謎が多い。
「…友…だち…」
「良かったな、長谷。」
「…ぅ、うん…」
俺の頭はここ数日長谷でお花畑だ。
たった数回の接触で俺がお花畑になるとは…
柔らかい手も頬も、えくぼも、チビッ子なところも色白なところも全部可愛く見える。
長谷は、顔さえ見えなければ普通に可愛い。
(俺、言い方ッ!!)
モサい髪をカットしたらもっと可愛くなれる筈だ。
普通に可愛いから騒がれそうなものだが特にそういう事もなかったし、イジメとかも受けそうなものだがそんな様子もない。
上手い具合にボヤボヤ感が隠れ蓑になっていたというわけだ。
(長谷さん、実はアナタ最強ですね。つか、どこまでも王道の逆を行くわけですね。)
「なぁなぁ倫也!今日一緒に帰ろうぜ!裕太も一緒に3人で!」
「…ぁ…あの…」
長谷が困った様子で俺に顔を向けた。
「恭哉、それは無理なお願いだ。」
「なんでさー!」
「長谷は俺と帰るから無理。」
「えー、俺も交ぜろよー!!」
「…あ、の…村山く…ん…」
「んー、どしたの倫也。」
「…今日は…氷上…くんと…帰りたい…から…」
「ちぇー。」
「…ごめ…ん…あ、明日…なら…」
(おいぃー!!長谷さん、それ俺が嫌よ?)
「マジ?じゃぁ明日は3人で帰ろうな!」
「…うん…」
「いや、待て!」
「なんだよ、裕太。」
「長谷は明日も明後日も来週も再来週も一ヶ月後も一年後もお前と帰る暇はない。」
「裕太、お前いつから早口言葉得意になったん?つか、倫也は裕太の私物じゃないだろ?独り占めとかズルいぞ!」
「う"…貴様、痛いところを…」
確かに恭哉の言う通りだ。
長谷は俺の私物ではないし、折角友達ができたんだから応援してやるべきだ。
「…私物……氷上…くんの…私物…」
長谷は何故か変なところに反応して下頬をピンクにしている。
正直、こういうところも可愛い。
俺がお花畑になるのも頷ける。
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