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第26話

~ 倫也side ~ 僕は、昔からこんな… 多分、産まれた時からこんな… 赤ちゃんの頃どんな顔だったのかなんて分からない。 だって、僕の写真は一枚もないから… ブサイクな僕を写真に写そうなんて、誰も思わない。 写真なんてなくてよかった…自分でもそう思う。 僕には双子の兄様が居る。 双子だけど、僕とは似てない。 びっくりするくらい… 兄様は凄く整った顔をしてる。 お父様もお母様も、みんな綺麗で整った顔をしてる。 僕だけが違う… お母様に拒絶された異質な僕は、家族とは暮らせない。 広い土地の中に建ってる大きな日本家屋の少し先にある古い小さな平屋… そこに、ずっと一人で暮らしてる。 小さい頃はお世話をしてくれる人が居たけど、今は一人ぼっち。 異質な僕が疎まれる理由… 代々美形しか生まれない家系なのもあるけど、一番はやっぱりお父様が有名な書道家で、最大規模の書道団体で会長をしてる事が大きいと思う。 家は代々続く書道の名家で、お父様のお教室は生徒さんも多いし、メディアに出る機会も多いから、僕がそういう物の目に留まるのが嫌なんだと思う。 僕の存在は、お家の恥… ーーー 「倫也、お前には書の才能がある。お前は雅也(まさや)の身代わりになれ。可哀想に、雅也は才能に恵まれなかった…。だからお前が雅也の身代わりとして雅也の為だけに書を書け。拒否は許さん。」 兄様は僕にない物を全部持ってる。 でも、僕も兄様がない物を一つだけ持ってる。 お父様が初めて僕を認めてくれた。 それが凄く… 凄く嬉しかった。 存在意義を見つけたみたいな気がして嬉しかった。 お父様に言われた通り書いたたった一文字… それが、僕の人生を狂わせていった。 ーーーーー

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