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第34話

昼休み、後ろの席の長谷の頭をぐしゃぐしゃ丸めてから恭哉の席に向かった。 恭哉の席は出入口から見て二列目の一番前の席だ。 教室は、正面に教卓があって、入り口から見て七列、正面から見て六列ある。 ちなみに、ロッカーは廊下にある。 わざわざ恭哉の席に向かったのは、アレを貰う為だ。 「恭哉。」 「おう!つか倫也大丈夫だったか?」 「まぁ、一時間寝たら少しスッキリしたみたいだな。」 「そか、良かった。」 「ところで恭哉さん。」 「はいよ、裕太さん。」 「君のバイト先の半額チケットをおくれ。」 ほいほいと恭哉の前に手を出した。 「なんか偉そうだからやり直し!」 「チケットください。」 「手が偉そう。」 「…お前なぁ。」 「うそうそ。ちと待ち。」 恭哉がズボンのポケットから財布を出して開くと、札入れからチケットを二枚出して俺の手に乗せた。 「サンキュ。」 「良い女とおデートですか?」 「いんや、長谷と。」 「お前ら、本当いつから仲良くなったんだよ。」 「つい最近。」 「長谷可愛いもんなぁ。」 「だろ?俺のぶーちゃんは最強に可愛いのですよ。」 「ぶーちゃん?」 「ん?…あぁ、こっちの話。」 「なんじゃそりゃ。つか、一緒に飯食おうぜ。」 「ダメ。俺は長谷と食うから。」 「はぁ?俺も倫也と食いたい!交ぜろい!!」 「お前、長谷を名前で呼ぶな。」 「いいだろ、友達なんだし。」 「ダメだから。」 (よくありませんよ、恭哉さん。俺だってまだ名前で呼んだ事ないんだし。と、とととと倫也なんて呼んだ事な…ん?つか、なんだこれ…なんか恥ずかしいぞ…) 「なに顔真っ赤にしてんだよ。キモいな。」 「マジ?顔赤い?」 「ゆでダコみたい。」 「そ、そうか、マジか…」 (これはまぁ、なんと言うか重症ですな、俺…) 「つか、裕太さん。」 「はい?」 「肝心の倫也が居ませんが?」 「なんですとぉ!!」 長谷の席を見ると、確かに長谷は居なかった。 また身を隠したかとボヤボヤも探したが、それもなかった。 慌ててブレザーからスマホを取り出したが、俺はハッと気づいた。 長谷の番号を知らない事に…

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