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第39話
長谷の超絶うまうまサンドウィッチを堪能し、楽しい楽しい昼休みが終わって、あっという間に放課後を迎えた。
「はーせーさん。帰りましょ?」
「…あ…うん…」
割引券もゲットして、準備万端の俺。
足元もルンルン♪踊っている。
「あれ?長谷さん気乗りしない感じか?」
「…そ、そんな!…楽しみ…」
「そりゃ良かった。」
ボヤボヤ長谷さんは、ノロノロと教科書と筆記用具を鞄に詰めている。
(うんうん、可愛いぞ、長谷さん。ノロノロ長谷さん可愛いぞ。)
「…あの…」
「ん?」
「…どこに…行くの?…」
「秘密。ヒントをあげるとすれば、あまーくて美味しいものを食いに行きます。」
「…あまーくて…美味しい…なんだろ…」
「楽しみにしときな?」
「…う…ん…」
コクコクと首を立てに振る長谷は、なんだかおもちゃみたいだ。
鞄に詰め終えた長谷の手を握って教室を出た。
U字階段を下りて、下駄箱で靴を履き替える。
校庭を通って、門を潜れば、俺達の放課後が始まる。
「長谷はさ、どっか行きたいとこあんの?」
「…え?…」
「参考までに。これからは毎日一緒に帰って、放課後デートだろ?毎回毎回同じとこじゃ飽きるしな。」
「…ぼ、僕は…氷上くんと、居られるなら…どこでも…」
「んー…残念。シミュレーションゲーム的に考えたら、その回答じゃ俺の好感度は上がらないな。」
「…シミュ…レーション?…」
「長谷ってあんまゲームとかしない感じか?」
「…ゲームは…好き…」
(ほうほう、新しい長谷さん発見!)
「長谷はどんなゲームするんだ?」
「…え?…あの…秘密…」
「あ、秘密なんだ?」
(もしや、ぴゅあっぴゅあと見せかけて、エロゲ積んでるとかか?…って、それは俺か!三次元では飽き足らず、二次元にまで手を出してんのは俺か!!)
「…う…ん…子どもみたいで…笑われる…かも…」
「別に笑わないけど?」
「…秘密…」
ムッと長谷の唇が尖る。
表情は見えなくても、唇は正直な長谷。
「分かった分かった。そう怒るな。」
「…どうして…分かるの?…」
「ん?」
「…お、怒って…るって…」
「んー、秘密。」
うっかり唇とか言って、明日からマスクをして来られても困る。
それこそ前髪星人だ。
「…意地悪…だ…」
「長谷も意地悪だろ?」
「…そ…だけど…」
「おあいこって事で。…つか、長谷?」
「…な、なに?…」
「隣来いよ。」
相変わらず武士嫁っぷりな長谷。
正直、少し淋しく感じる。
「…ダメ…」
「なんで?手、痛いし、俺は長谷と並んで歩きたい。」
「…痛い……あ、ごめ…ん…手、離して?…」
「それは嫌。いいから隣に来なさい。」
グイッと軽く長谷を引くと、トットットッとつんのめりながら長谷が隣に来た。
「…強引…」
ムッと唇を尖らせながら、ググッと首を上げて俺を見上げた。
「それ、俺の十八番 なもんで。長谷にはさ、俺くらい強引な男がいいと思うわけですよ。」
実際、俺を見てるかは分からないが、角度的にはそうだと思う。
少し首が苦しそうだ。
結構な身長差だから仕方がない。
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