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第40話
学校帰りのカップルウジャウジャ公園コースを長谷と並んで歩く。
お手々繋いでそれはそれは仲良く。
「…ひ、氷上く…ん…手…恥ずかしい…」
「いいじゃん、俺と長谷はラブラブカップルだろ?」
「…ら、らぶらぶ…かっぷ…る…」
「そ。」
周りはチュッチュチュッチュイチャイチャイチャイチャしている。
(俺も長谷さんとチュッチュイチャイチャしたいぞ!)
「…あぅ…そ、そんな…ラブラブとか…」
「はは、長谷はマジで恥ずかしがりだな。」
「…ふ、普通に…恥ずかしい…から…」
「別に恥ずかしくないだろ。」
俯く長谷のモサモサ髪が可愛い。
なんか可愛くて堪らないから、グシャグシャ撫でて鳥の巣を作る。
「…グシャグシャ…するの…や…だ…」
「なんで?可愛いじゃん。」
「…か、かわ…」
長谷が早足になる。
早足と言っても長谷はちびっ子だ。
すぐに追い付く速さだ。
長谷が俺から離れる気がない事は分かっている。
加減してながら歩いている。
本気を出せば、目にも止まらない速さで、大気圏さえも超えていきそうな人だから…
「そうだよ、長谷は可愛い。」
「…僕を、可愛い…なんて…言うの…は、氷上くん…くらい…」
「当たり前だっての!長谷の可愛さが他に分かってたまるか!」
長谷は、俺が見つけた原石。
磨けばいくらでも輝く。
まだ実践していないからなんとも言えないが、きっと輝く。
「…ひ…氷上く…ん、恥ず…かしい…から…」
周りを見渡すと、俺達はだいぶ注目を集めていた。
多分、俺が大声を出したせいだ。
「…悪い。こりゃ俺もちょっと恥ずかしいわ…」
照れ隠しに空を見上げた。
下の方からクスクス笑い声が聞こえた。
鳥の巣が小刻みに揺れている。
「…今度有精卵でも持ってくるかなぁ。」
「…有精…卵…?」
「そ。長谷の頭で孵化させて育てる。」
長谷の頭でピヨピヨ言ってるヒヨコを想像したら、なんだかそれが可愛いすぎて顔がにやけた。
「…それだと…僕は、なにも…できない…」
「安心しな。俺が全部やってやるから。長谷の食事の世話から、風呂の世話、シモの世話まで含めて全部。」
「…け…結構です!…」
「あ、もちろん性処理も!」
「…バ…カ…バカ…バカバカ!…ひ、氷上くんの…バカ…」
バカを連発する長谷に苦笑しながら公園を抜けた。
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