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第8話

2人でペット用品売り場に向かった。 「すぐ無くなるから徳用にしよう。」 「駄目。」 「こっちの方が特だろ。」 「稑くんはあげすぎるから駄目。これからはあえて徳用は買わずに普通のを買うから。」 「なっ!?」 「チョコのエサは今後、僕が管理するから。いいね?稑くん。」 少し厳しい気もするけれど、これはチョコの為だし、せめてチョコの事くらいは僕も有利になりたい。 「紘二は、意地悪だ…」 稑くんは、渋々了承した。 棚から通常品を取り、レジに向かった。 先を歩く稑くんの背中は、どこかシュンとしている。 なんだか僕がいじめているような気分になる。 「はぁ…分かったよ。おやつ買っていいから、早く持ってきて。ダッシュだよ、稑くん。」 結局、僕が折れてしまった。 僕は稑くんには敵わない。 僕の言葉に稑くんは嬉しそうに笑った。 なんかこう、おやつを買ってもらえなかった子どもの無言の訴えに負けた親の気分… 僕は、稑くんに激甘だ。 その時点で、僕が有利に立とうだなんて無理な話… 暫くして、稑くんが小走りで戻ってきた。 少しだけ待ってもらっていたレジを担当している従業員にそれを渡した。 幸い、僕たちの後ろに並んでいる人は居なかった。 待っている人が居ると、この状況は中々気まずいものがある。 僕たちは、会計を終えてスーパーを出た。 「稑くん、本当にあげすぎたら駄目だからね?1日1個だからね?」 「あぁ、分かってる。しつこい…」 「稑くん。ちゃんと分かった?」 「だから、しつこいって。」 そう言うと、稑くんはまたズンズン先を歩いた。 僕としては、少し遠回りして帰りたい。 お互い仕事は別々だし、帰宅すれば稑くんはチョコに構いきり… せっかく一緒に暮らしてるのに、なんだか淋しい… だから、少しでも稑くんを独り占めしたい。 きっと、あの話も家では落ち着いてできないだろうから…

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