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第11話
適当に誤魔化した事を後悔した。
早く寝るどころか…
僕はそういうつもりでいたからだ。
ご無沙汰すぎて切らしたままだったゴムとローションをお店に行く前に買う程そういうつもりでいた。
まさか、早く寝ろと言われてしまうなんて…
僕はガッカリと肩を落として、溜息をつきながら寝室に向かった。
スーツを脱いで、ラフな部屋着に着替えると、リビングに戻った。
「紘二、先にシャワーしてこい。」
「でも夕飯の支度しないと。」
「支度くらい、俺だってできる。」
意外にも、稑くんは料理が苦手だったりする。
だから、料理はいつも僕の仕事だ。
その代わり、掃除全般をやってくれている。
きちんと役割分担はできていると思う。
「だけど、どこに何があるかとか、稑くん分からないでしょう?」
「まぁ、そうだけど…」
「心配だから支度だけしてからにするよ。」
「分かった…」
稑くんは納得していない様子だ。
「稑くん、僕は大丈夫だから。」
「ん…」
いつも通り僕がキッチンに立ち、稑くんはカーペットに胡座かいておもちゃでチョコを遊ばせている。
その姿は、何とも微笑ましい。
チョコは焦げ茶と白のニ毛猫のオスで、お腹を向けるとハートっぽい模様があるのが特徴だ。
悲しい事に、僕には全く懐いていない。
チョコと家族になって3年、自らお腹の模様を見せることはないし、いまだにシャーッと言われる始末…
稑くんは気のせいだと言うけれど、明らかに僕はチョコに嫌われている。
まるで、家族に除け者にされているお父さんの気分だ。
実際、僕の歳にもなれば結婚して子どもが居る人も少なくはない。
年賀状は家族写真とか子どもの写真がプリントされた物が増えてきた。
僕と稑くんはというと、毎年チョコの写真をプリントした年賀状を出している。
当然、猫年なんていうものはないから、チョコにちょっとしたコスプレをさせてみたり…
そういう飼い主に対して、動物虐待とか言う人が居るけれど、幸いチョコはそれを嫌がらないから無理やりというわけではない。
年末になると、いそいそとチョコの衣装を作り出す稑くんは可愛い。
稑くんのお店は、クリスマスに予約限定でケーキの販売をしているから、クリスマス明けの稑くんは毎年ぐったりしている。
今にも寝そうな顔をして、眠◯打破を飲みながらチョコの衣装を作る稑くんは、本当に可愛い。
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