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第16話
グズグズになりながらカレーを食べた。
味が分からなくなる程泣いた。
いや…
泣きすぎて味が分からなくなってるわけじゃない。
本当に…
本当に、分からない…
俺の味覚は狂ってしまった。
それがどんな味なのか理解できない…
理解できないという事は味に対しての表現ができない…
何を食べても苦く感じる…
甘い物は特に。
不快だ…
その症状は俺にとって…
死すらも意味しているのかもしれない。
このカレーが美味いのか不味いのかも分からない。
紘二のカレーは、何度も食べてきたから経験だけで美味いと言った。
異常に気付いたのは半年くらい前だ。
風邪を引いたのかと思っていた。
仕事を休む訳にもいかず、市販の薬で誤魔化しながら生活をしていた。
でもその症状は長引いた。
むしろ、良くなるどころか悪化するばかりだった。
病院に行っても、理由は分からなかった。
とにかく色んな病院に行った。
そして、精神神経内科に行き着いた。
そこで味覚障害だと言われた。
初めて病名が言い渡されて…
初めて病名を知って…
普通は少しホッとするのかもしれない。
病名すらわからないまま色んな病院を渡り歩いて、解決も適切な治療もされないまま辛い症状に悩まされている…
そんな状況だからこそ、真実に辿り着いた時、ホッとするんだと思う。
でも俺は違う。
奈落の底に突き落とされたような気分になった。
味覚障害にも色々とあって、悪味症というのが俺の病名らしい。
治るかもしれないし、治らないかもしれないと…
今の症状が改善されたとしても、何かしらの形で症状が残るかもしれないとも言われた。
世の中は…
残酷だ…
何故味覚なんだ…
こんな事、誰にも相談できない。
新作を作れと言われた時には、冷や汗が止まらなかった。
味が分からないのにどうやって新作を作ればいいんだと喚き散らしたかった。
でも、それすりもできなかった。
医者から処方されている薬は飲んでる。
バレないように…
フラストレーション…
そんなものはもうとっくに振り切った。
蓄積されたフラストレーションは、ストレスへと変化した。
何を食べても美味しく感じない…
それを隠す必要がある…
とにかく早く治そうと焦る…
なにもかもに追い詰められた。
追い詰められれば追い詰められるだけ、症状は悪化していった。
病気を治す為に希望を持てる事は全てやった。
亜鉛のサプリメント…
処方薬…
どれも俺にはあまり効果がなかった。
効果はないと感じつつ、薬は医者から処方されているから続けてる。
でもサプリメントは止めた。
他にも色々試した。
でも…
もう疲れてしまった…
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読者の皆様へ。
お話の途中に失礼を致します。
病気に関してですがこのお話を書くにあたり必要なものでした。
今この症状でお悩みの方に失礼のないよいに書いているつもりですが、不備や不快な気分を与えてしまいましたら申し訳ございません。
私自身も2年前から味覚、口内への違和感を感じている身です。
医者は頼りにならない為私なりに参考書等を調べ症状改善の為に勉強をしています。
私が調べて試してみた事や勉強してきた事やその時の気持ちなどを稑に重ねて書いていますので、実際に効果があるものかは分かりませんし、医学的な専門知識もありません。
決してこの症状を軽視しているものではない事をご理解いただけましたら幸いです。
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