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第17話

このまま紘二と居ても迷惑をかけるだけだ。 分かってる… でも、別れようだなんて言えない。 俺は嫌なヤツだ。 紘二から別れ話をしてくれたら… いや、もしもそうだとしても… 俺は… なんだかんだ言いつつ、紘二を手放せないんだと思う。 こんな狡いヤツを好きだなんて、紘二はどうかしている。 俺と別れるなんて、多分紘二は微塵も考えていない。 俺の自惚れなのかもしれないけど… でも、紘二は優しいから俺に付き合ってくれているだけかもしれない。 本当は、いい加減嫌気がさしているのかもしれない。 そう思うと胸が痛む… 別れを考えてる相手に嫌気がさされてるかもしれないと考えただけでこんな気分になるなんて俺はどこまでも勝手な奴だ。 不愉快な気分でなんとか食べきり、食器を洗った。 食べたのか食べてないのか分からないような感覚… 食器を洗うことで、食べ終わったのだと自分を納得させた。 冷蔵庫から水のペットボトルを取ると、PTPシートからプチプチと錠剤を出した。 そして、慣れた手つきで口に運んで流し込んだ。 本当に効果があるんだろうか… この行動に意味はあるんだろうか… 全然実感できない… いつまでもウジウジしていても仕方がないって事くらい分かってる。 ウジウジしたって良くなるわけじゃない。 でも、ウジウジせずにはいられない。 俺はこの気持ちを吹っ切る事ができるんだろうか… リビングに戻ると足元に甘えてくるチョコちゃんを抱き上げた。 「チョコちゃん、俺はどうしたらいいんだろうな…」 苦笑しながらチョコちゃんに顔を近付けるとひしっと前足で拒否された。 何度試しても拒否するから思わず笑ってしまった。 「チョコちゃん、お前、良い子だな…」 猫は大体顔を近付けると前足で拒否をする。 それは分かってても、俺を元気付ける為にやっているんだ… と良いように捉えてしまう。 「俺がこの家出る事になったらチョコちゃんは一緒に来るか?…」 気付くとそんな事を口にしていた。 チョコちゃんは俺から降りてキャットタワーの天辺に登って行ってしまった。 そして俺を見下ろした。 その目を離せないまま、何秒も見つめ合った。 「そっか、チョコちゃんは反対か…」 チョコちゃんのその目と態度はまるで反対しているようだった。 なんだかんだで、チョコちゃんは紘二が好きだ。 紘二が風呂入ってる時とか、トイレ入ってる時とか、実は地味に扉の前で待ってたりしてる。 出てくる気配がすると戻って来るけど… チョコちゃんは… ツンデレだ。 そんなところも可愛い。 俺にはしてくれないから少し紘二が羨ましい。

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