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第23話

休憩室の扉を開いた瞬間、何かが突進してきて抱きしめられた。 あまりの驚きと勢いに思わず固まってしまった。 「利くーん、お疲れ様ー!!疲れたよねー?大丈…ぶ…って…ま、ま、ま、前川っ!?」 「…痛ったぁ…って、…オーナー?…」 「な、ななな…お前、帰ったんじゃ…」 「オーナー…、あの、とりあえず離してください。そして離れてください。」 「あー、悪い悪い。」 「あの、さっきのトシクンっていうのは…」 多分… 「俺の事だ、俺の。二人共邪魔。入り口塞ぐな。」 柊さんの足が飛んできて、俺とオーナーは咄嗟にそれを避けた。 「あ、危ないって、利君…」 「大丈夫だ。万が一当たった時の為に急所は避けてる。」 「え、あ、そういう問題?」 「あぁ。つか、帰ったんじゃねぇの?」 「一度帰ったんだけど、疲れてるんじゃないかと思って栄養ドリンク買って引き返してきたんだ。」 「へー、そりゃどうも。」 「なに!どうしたの、利君!?」 「な、なんだよ、ビックリすんだろ!急にデカい声出すな。」 「今日は妙に素直だ。」 「それ、どういう意味だよ、お前。俺はいつも素直だろ!!」 「あ、あの…」 「前川。俺とオーナー…いや、コイツはそういう事だから!!…その、なんだ、あれだ、付き合ってる。」 「え、あ、はぁ…」 「え、ちょ、利君、それ俺が言いたかった!俺がカミングアウトしたかった!あ、ちなみになんだけど、告白は利君からで、俺はノンケだったんだけど、あまりに一生懸命で可愛かったから…」 「いらねぇよ、そういうの。」 惚気るオーナーの口を覆ったのは柊さんだ。 「仲が良いんですね。」 「どこが…」 「えっ!?仲良いよね?俺たち仲良いよね?えっ!?えっ!?」 なんだか変な事になってきたけど、一人で居ればきっと沈みまくっていただろうから、少し有り難い。 紘二は… どうしてるだろうか… きっと酷く落ち込んでるに違いない。 二人がヒートアップしていく様子を見ながらそんな事を考えていた。

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