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第27話
本当にカッコ悪い…
「本当、どうしようもないなぁ、俺…」
「あぁ、マジ救いようがないな。」
「はは、酷いですよ、柊さん。」
「俺はお前を買ってる。俺の料理はお前のドルチェ無しには完結しない。…これ、マジな話だからな。辞めようとか思うんじゃねぇぞ…」
そう言ってもらえるのは嬉しい。
だけど、もう俺は、この店の足手まといだ。
「そうだぞ前川!なんだか俺は置いてきぼりでよく分からんが、前川が居ないとウチの店は始まらないんだからな。」
「おい、分かんないヤツが口突っ込むな。」
「でも俺はさ、前川が居なくなったら本当に店閉めないといけないと思う位必要な従業員だと思ってる。」
「まぁ、同感だな。…つーわけで、辞めようなんて考えんなよ?俺達を無職にするじゃないぞ?」
「そんな言い方はズルいです…」
本当にズルい…
そんな風に言われたら、簡単に辞めるなんて言い出せなくなる。
「とりあえずもう少し考えろ。今だけの事じゃなくて、これから先の事も視野に入れてな。治らないわけじゃねぇんだろ?」
ハッとした。
俺は病気になったという事ばかり頭がいって、先の事なんて考えていなかった。
誰かに知られなければ、俺はずっと同じところをグルグルしていたかもしれない。
「ありがとう、ございます…」
「お、おい、泣くなよ!」
「泣いてません。目にゴミが入っただけです。」
「はは、可愛いなぁ、前川は!」
「あ?」
「嘘です。利くんが一番可愛いです!」
「よし!」
オーナーはすっかり柊さんに敷かれてるらしい。
少し羨ましく感じた。
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