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第28話

ウチの場合、確かに俺の方が強くはあるけど敷いてるというのとはまた違うと思う。 なにより、ウチで最強なのはチョコちゃんだ。 俺も紘二もチョコちゃんには敵わない。 「で、お前どうすんだ?」 チョコちゃんの事も紘二の事も気になる。 でも今は… 紘二に会いたくない… 今会っても、ろくな事にはならないと思う。 少し時間が必要だと感じた。 「今は、…帰りたくない…です。」 「なにがあったか知らねぇけど、帰りたくないっつったって同棲してんだろ?」 「それは、…そうですけど…」 紘二とまたあんな事にはなりたくない。 だから… 今はまだ帰りたくない… 「じゃぁ、ウチに来るか?」 そう言ったのはオーナーだった。 「はぁ?」 それに即座に反応したのは柊さんだ。 「え、でも…」 「まぁ、利くんが良ければだけど。ねぇ、どう、利くん。」 「つか、嫌とか言えるわけねぇし…」 「じゃぁ決まりな。」 「でも迷惑じゃ…」 「ぶっちゃけ迷惑だ。…でも、路頭に迷わせるわけにもいかねぇからな。」 「大丈夫です。満喫とかそういうところで寝泊まりするんで…」 「でもお前、手ぶらだろ?」 「あ…」 今更になって財布も携帯も置いて出て来てしまった事に気付いた。 「ったく、財布置いてくる位切羽詰まってたのかよ。」 「…」 流石に恋人にレイプされかけたなんて言えない。 それに、紘二を酷いヤツだと思われたくない。 「そんだけ切羽詰まるって事はあれか、レイプでもされたか。」 「…」 「え、もしかしてマジか?」 「これはもう決まりだな。ね、利くん。」 柊さんは勘の良い人だ。 俺の表情やら返答の間で分かってしまったらしい。 「前川、お前とりあえず来いよ、ウチ。そんな場所に同僚帰す程鬼じゃねぇし…」 同棲中の部屋に転がり込むのは気が引けたけど、この状況だ。 「すいません、よろしくお願いします。」 申し訳ながらもお世話になる事にした。

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