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第66話
うつ伏せになった稑くんの背中にピトリと肌を合わせ、肩や耳にそっとキスを落としながら耳元で何度も謝った。
「稑くん、ごめんね。少し意地悪しすぎちゃったね、ごめんね…」
「だから、…だから久しぶりだって言ったのに、酷いヤツだ…」
「ごめんね、…ごめん、稑くん…」
「…」
稑くんはこっちを向いてくれない。
「稑くん…本当にごめんなさい…」
「…恥ずかしすぎて紘二の顔、…見れないだろ…」
「ん…大丈夫だよ。僕はね、むしろ嬉しいくらいだから。いっぱい感じてくれたなんて、男冥利に尽きるでしょう?」
「俺だって男だ…」
「うん…」
「なのにあんな…」
「傷付けて、…ごめんね、稑くん。」
「別に、傷付いてない…ちゃんと、気持ちよかった…し…」
「僕を見てくれないなら、このままする?」
その言葉に稑くんがピクッと反応した。
「嫌だ…バックは…怖い…」
「大丈夫…優しくする…絶対傷付けない…僕が、嫌な思い出を全部消してあげる。」
稑くんが後ろからの挿入を嫌がるのは、僕の前に付き合ってた人に酷い事をされたせいらしい。
実際、僕もカッとなって我を忘れて無理やりしそうになった事がある。
その時も後ろからだった。
だから稑くんはとても嫌う。
だからこそ、全部塗り替えたい。
久しぶりに再会した日の夜に、僕に後ろから奥を突かれてトロトロになった思い出に塗り替えたい。
「怖い…」
「僕は、もっと奥で稑くんと繋がりたい…」
反応を示して下着の中で窮屈にしてる僕のモノを稑くんのお尻に擦り付けながら、稑くんのズボンのボタンを外してチャックを下ろした。
下着の中に手を入れると指先にねっとりとしたものが触れた。
「ぁ…触んな…ッ…」
「可愛い…可愛いね、稑くん…」
「よせ…ッ…拒否、…できなくなる…」
「大丈夫…大丈夫だよ、稑くん。…だから、拒まないで、…ね?…」
それを指先に絡ませて、稑くんのモノを包み込むと、強弱をつけながら扱いた。
「ふ…ぁ…待ッ、はっ、んぁ…」
稑くんのモノは、さっきイったばかりなのにもう反応していた。
いや、だからこそ敏感になっていた。
「稑くんッ…気持ちいい?…」
呼吸が荒くなるのは稑くんだけじゃない。
「はぁ…あっぁ…きもち…は、ぁ…んン…」
「ん、僕も…ッ…気持ちいいよ…」
稑くんがいつ欲しがってもいいように、稑くんのお尻の割れ目に僕のを擦り付けている。
それは僕の為でもあるけど、稑くんに後ろからされているみたいに錯覚させる為でもある。
怖くないよ…って、そう教えてあげる為…
稑くんは快感に流されやすい。
そこがまた可愛い…
稑くんの前の恋人は本当に馬鹿だと思う。
この人の…
色々な可愛い部分に気付かなかったのだから…
本当に馬鹿だ。
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