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第73話
ゆっくりと上体を起こした。
多少の怠さはあるが、久しぶりのわりには終わった後の痛みは感じない。
多分、紘二がこれでもかってくらい解してくれたからだと思う。
しかし、あまり覚えてないが、かなり乱れてた気がして仕方ない。
思い出したいような、思い出したくないような、複雑な心境だ。
立ち上がろうとすると、紘二のが太腿を伝った。
意識的にキュッと尻を締めた。
床を汚さないようにとか、恥ずかしいとかじゃなくて、もったいない…
多分、それが正しい感情だ。
「…はは、カーペット買い替えないとな。色々ぐちゃぐちゃ…次の休みにでも…買い…」
「わゎっ、ちょ、ちょちょ、稑くん、ちょ、ちょ…」
ふと見ると、紘二が両手で顔を覆ってしゃがみ込んであたふたしていた。
辛うじて見えるのは真っ赤になった耳…
「なんだよ、いきなり。驚くだろ!」
「だ、だって稑くんちょ、ちょ…」
「落ちて付けって。」
「なんか太腿っ、色々刺激が…僕はそれは見られません。なんか、なんかもう本当に色々…実感してしまって…」
可愛い…
俺の前であたふたしながら照れてる紘二が…
凄く可愛いと感じた。
「はは、馬鹿…紘二がしたんだろ?」
「そ、それはそうだけど…」
紘二は顔を覆ったままだ。
耳を真っ赤にさせて、今紘二はどんな顔をしてるのか…
知りたい…
「紘二?…」
「…はい。」
「俺を見ろよ、紘二…」
「だ、だからその…僕、今とても見せられる顔じゃないし…こう、目のやり場が…」
「いい。…どんな顔しててもいいから…」
ゆっくりと顔を覆っていた手が剥がれていった。
そして、照れて真っ赤になった顔が出てきた。
それはもう、見ている俺まで恥ずかしくなる程だ。
「見せたく…なかったのに…」
「どうしてだ?…凄く可愛いのに。」
「…稑くんには、カッコいいって思われたい…」
ムッとした紘二も可愛い…
愛おしい…
「…はぁ…」
「なっ!だから見せたくなかったのに!溜息なんて酷いよ、稑くん!」
「違う。そうじゃなくて…」
その言葉に紘二が首を傾げた。
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