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あの日直輝と喧嘩別れをしてから一週間も経った あれだけ毎日五月蝿く鳴り響いていた携帯も全く鳴らないし、嫌ってほど付けられたキスマークもどんどん消えている それに何より直輝に抱き締められてた感触がずっと残ってて虚しくなる。 直輝の骨ばってる綺麗な手とか、 真剣な目をして仕事をしてる横顔とか、 ニヤニヤ笑っては俺に擦り寄ってくる可愛い笑顔とか 時間が経てば経つほど直輝との一つ一つの思い出が溢れる 気分を切り替えたくて食堂でぼんやり苺ミルクを飲んでると後ろから誰かに話しかけられた 「祥〜元気ないね、どうしたの?」 「………瑞生さん」 「びっくりする程黒いオーラ凄いけど…」 「…………いや…なんか…バチが当たったっていうか」 「ふ〜ん…もしかして前話してたセフレの子の話?」 「っ!」 「わぁ〜ビンゴだ〜」 「…………はい」 「で、どうだったの?その様子からしたらセフレだった落ち?」 「………多分」 「多分?」 「………はい」 「な〜んか煮え切らない感じだね」 「………でももう一週間も向こうから連絡ないし…そう言う事なんだと思います」 「………ねえ祥、明日俺の家で一緒に呑まない?」 「えっ?!瑞生さんの家でですか?!」 「休みだしお互い明日は店もシフト入ってないだろ?………嫌だ?」 小首を傾げて聞いてくる瑞生さんを見ながら、少し考えた俺は頷いて承諾した 瑞生さんと仲良くなれるチャンスかも… 来年からは一緒のサロンで働く先輩だし、一度ちゃんとゆっくり話したかったし 「行きます!」 「本当?良かった〜実は俺もさ失恋しちゃって」 「え、瑞生さんが?」 「ふふっ何それ俺だって失恋くらいするよ」 「あ、すみません…いや瑞生さんみたいに素敵な人振る人いるのがびっくりで」 「あははっありがとう〜!んーそうだね、俺の場合振られたっていうか…少し気抜いてたら横から知らない奴に攫われてたって感じ」 「うわあ…なんか…瑞生さん大人ですね…」 「何それ…本当に祥は可愛いね、じゃあ明日お昼ころ駅で待ち合わせしない?」 「いいですよ!何処の駅向かえばいいですか?」 「あ、俺の家って吉祥寺駅なんだよね」 「吉祥寺?!俺もですよ!」 「そうなの?あ、じゃあ俺車で迎えいくよ」 「いやそんな悪いですよ」 「気にしないで、俺ドライブしたいと思ってたから少し付き合ってよ」 「…じゃあ…明日はよろしくお願いします」 「うん、後で住所メールしといて」 瑞生さんはそう言って俺の頬を撫でると食堂から出ていった (……瑞生さん…大人だなぁ…) 俺は瑞生さんに触られた頬に手を添えながらそう思った 直輝と違くて優しいし大らかだし… 猫っぽいけどいつもフォローしてくれるし ……だけど直輝の意地悪な笑顔とかいつでも余裕たっぷりなところとか…絶倫だし変態だしどうしようないけど、手つきとか馬鹿みたいに凄い優しいところ……好き… 意識しなくても自然と直輝の好きな顔が沢山浮かんでくる 拗ねたりとか機嫌悪かったりとか そんな憎たらしい顔でさえ好きだ 直輝に抱き締められるの嫌じゃなかった むしろ何かホッとした 俺……直輝の事…… そこまで考えて俺はその先の気持ちに気づくのが怖くなって無理矢理考えを打ち消して再び苺ミルクを飲んだ

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